年末年始臨時休診のお知らせ

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2020年5月25日月曜日

新型コロナウイルス治療薬の動向


新型コロナウイルス感染症の治療薬は、現状では皆無ですが、「期待の星」としていくつかの薬剤が世界中で試されています。

アメリカ大統領は、抗マラリヤ薬(ヒドロキシクロロキン)を服用していると公言しましたが、死亡リスクを高める調査結果があり、少なくとも現時点では治療薬としての選択は誤りと言えます。

エボラ出血熱のための薬であるレムデシビル(ベクルリー)は、アメリカで早々に承認されたことを受けて、日本でもゴールデンウィーク明け早々に特例承認されました。ただし、アメリカの治験では、治癒期間を早めることはできましたが、死亡率には有意な差は出せていません。

日本では、同じRNAウイルスであるところから、早くから新型インフルエンザ治療薬である「アビガン(ファビピラビル)」への期待があり、実際治癒した方の中でアビガンを使用したという話が出ていました。

政府は5月中に特例として使用承認をする方向でしたが、18日に現実的効果があるという科学的根拠が無いという日本医師会有識者会議の見解が出されました。将来的にはまだわかりませんが、重篤な副作用の問題もあるので拙速に結論付けることは難しそうです。

実際、新型インフルエンザに対しても、実は明瞭な効果があるとは云い難かったのですが、他に治療薬が無いことから「無いよりはいいかも」という判断だったことはあまり知られていません。

ワクチンについては、アメリカと中国の覇権争いが熾烈を極めていますが、そんなに簡単に安全で実効性のあるワクチンが大至急用意できるというのは懐疑的です。実際、同じコロナウイルスであるSARSやMARSに対するワクチンは、いまだに完成していません。

新型コロナウイルスでも、再感染例らしきものが認められていますし、感染して抗体(ウイルスを特異的に攻撃する)ができても、個人差がかなりあるようです。できない人、できても比較的早期に消失してしまう人がいるものと考えられます。

また、特に再感染例では、抗体があるとウイルスに過剰な反応を示す場合があることが知られていて、より重症化し致命率が高まると言われています。

これは、抗体依存性感染増強現象(ADE)と呼ばれるもので、 抗体がウイルスと細胞の間をつないで、かえって感染が進行してしまうものと考えられています。実際、いくつもの感染症で、この現象は認められており、ワクチン開発においても安全性上は無視できない事象です。

実際、重症化した新型コロナウイルス肺炎では、肺の中にADEによる免疫細胞の暴走から、炎症を伝達するサイトカインが爆発的に増えるサイトカインストームと呼ばれる現象が起きていると考えられています。

新型コロナウイルス肺炎で注目されているリウマチ治療薬であるアクテムラ(トシリズマブ)は、肺炎でも増えているインターロイキン6と呼ばれるサイトカインを特異的にブロックすることで、リウマチの炎症を起こさせないようにします。

また、さらに新しいリウマチ治療薬であるJAK阻害薬も、いくつかのサイトカインをまとめてターゲットにできるため、新型コロナウイルス肺炎の治療薬として注目され始めているようです。