実際、昨日のクリニックの帰りは、依然と同じくらいの車の交通量で驚きました。日中は、クリニックから見ていても、あまり人出が増えた印象ではありませんでしたし、来院した患者さんも地下鉄はガラガラだったと言っていたんですけどね。
そもそも、日本のPCR検査は少なすぎて、メディアは感染の実態がわからないと一貫して言い続けている。その信用されていない数字が、減少していることを根拠に自粛解除の話をすること自体、どうなんだという感じがします。
それも、人々の自粛疲れが高まっているということ。先が見えないまま、不要不急の外出を止められ、店によっては休業を余儀なくされ、かといって政府からは対策が示されたのは最近の事。
ところが緊急事態宣言は再び延長されましたが、やはり具体的な目標は示されなかったことで、混乱の様相が深まったと言えます。
大阪は独自の出口戦略を発表しました。1日当たりで感染経路が不明の新規感染者数が10人未満、新規のPCR検査数あたりの感染割合を示す陽性率が7%未満、重症者病床の使用率が60%未満の3つとし、1週間連続で下回れば自粛解除とするというもの。
運用が始まった5月8日の時点では、すべてクリアしている数字なので、目標としての設定はやや甘い感じが否めませんが、一つの方向性として国民の理解を得るものとして具体的でわかりやすいことは十分に評価できるところ。
東京都は、これらの数字を確定的に把握することは困難という理由でまだ検討中のようですが、慎重というよりは、現実的だと思います。連休がおわった後の大まかな状況が把握できるのは来週後半以降ですから、そこまでは目立った動きはしないほうが無難。
それに対して、政府は相変わらず。首相は精神論みたいな話しかしないし、大阪府知事に「自治体が休業要請などを出すところなのに、国に出口戦略を出せというのは勘違いしている」とか発言しちゃう大臣がいる。
特措法には、はっきりと緊急事態宣言は国が主体的にだすものと明記されています。だから、首相が発出するわけで、出したからには引っ込めるのも国の責任なのは当たり前。
大筋を政府が決めて、具体的に各自治体が主体的に動くという原則の理解が足りないのはどっちかは明白な感じです。かえって府知事の人気を高めただけみたいなところ。
感染症の歴史が教えてくれるように、感染の蔓延は第2波、第3波・・・と続き、本当に終息して安心できるのには1年程度は必要。現在の大きな波が落ち着くのでさえ、最低でも数カ月必要です。
やはり、繰り返し言われているように、自粛と補償のセットにして、それぞれの立場に見合った形で具体的な目標を提示することが求められます。それが本当に難しいことは理解していますが、そのために政治家がいるということもはっきりしています。