2020年5月17日日曜日

新型コロナウイルスの世界の死者数の推移


新型コロナウイルスの感染による死亡者数は、医療関係者としては、感染症を制御できているかどうかを考える指標になりうる、最も重視すべき項目です。

日本の場合、メディアを中心に一部の著名人(医療関係者を含む)からもPCR検査数の少なさばかりが批判され、まるで検査数が少ない事で医療崩壊を招くという論調が目立ちます。

しかし、ここで何度も書いていることですが、検査が多くてメリットが出るのは経済活動上のことであって、医療が正常に機能できているかは死亡者数の方がより判断材料にしやすい。

ただし、死亡するまでの期間は様々ですから、リアルタイムの感染状況はわかりません。もちろん、実は新型コロナウイルス感染による死亡なのに把握できていないものも存在することは否定できませんが、それが全体像に大きく影響するほど膨大な数になるとは考えにくい。

3月半ばの時点では、世界の主だった人口100万人あたりの死亡者数は次のような物でした。

イラン  6.42人
イタリア 4.27人
韓国   1.41人
スペイン 2.61人
中国   2.26人
フランス 1.16人
日本   0.22人
アメリカ 0.127人

それから2カ月だって、DOMO感染状況によると、現在の全世界で累積数の平均は38人にまで膨らみました。地球上で、2万6千人に一人が亡くなったことになります。500人亡くなったということは、2千人に一人、10人なら10万人に一人という計算になります。

各国の数字を並べてみます。

イタリア 523人
イギリス 501人
フランス 422人
アメリカ 265人
イラン  82人
日本   6人
韓国   5人
中国   3人

最大の感染者数となったアメリカで、ニューヨークだけに限ると、何と死亡者数は人口100万人あたり2656人という驚異的な数字です。377人に一人が亡くなりました。

集団免疫を期待して、ほとんど強力な制限を行っていないスウェーデンは361人で、隣国のノルウェーの43人、フィンランドの53人よりも7倍程度の死者を出しており、残念ながら現時点では作戦が成功しているとは云い難い。

日本の死亡者数は、いまだ一桁を保っており、少なくとも国全体としての制御はできている方と評価できるように思います。政治的な対策のまずさは確実にありますが、医療体制、国民性、生活様式などによるところが大きいと考えたいところです。

世界全体で言えば、やっと北半球中心の感染の第一波のピークを越えただろうと言える状況ですから、これらの数はまだまだ増え続けると思われますが、これから南半球が冬に向かい感染の中心になる可能性があり、また北半球でも秋以降第二波が来ることが予想されます。

残念ながら、最低でも1年、あるいはそれ以上の期間は、この問題を忘れて以前の生活に戻ることは困難だと言わざるをえないということです。