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2020年7月3日金曜日

真夏の夜のジャズ (1958)

ジャズは、映画の中でもしばしば活躍しますが、まさにジャズが主役の映画としては唯一無比の存在なのが、この純然たるドキュメンタリー映画("Jazz on a Summer's Day")。

1955年に始まった、ニューポート・ジャズ・フェスティバル(アメリカ、ロードアイランド州)ですが、この映画は1958年の第4回の模様を題材としています。

随分と昔に何かで見た記憶があるんですが、映画館だったのかテレビだったのか、あるいはビデオだったのか記憶がはっきりしません。

ジャスの演奏だけを楽しむには、ちょっと物足りない印象ですが、この真夏の祭りを楽しむ50年代最後のアメリカの人々の生活やファッションを見事にパッケージにしたところを含めて観賞すべきもの。この後、60年代はアメリカは様々な問題が噴出し、暗雲が垂れ込め始めます。

現行では、DVDは手に入りますが、高画質のBlurayなどは登場していません。ほとんど日本語字幕は必要のないものなので、輸入盤で楽しんでもOKではないでしょうか。もちろん、今どきですからYouTubeでも見ることができます。

登場するミュージシャンは、ソニー・スティット、アニタ・オデイ、ジョージ・シアリング、
ジェリー・マリガン、アート・ファーマー、ジム・ホール、セロニアス・モンク、ダイナ・ワシントン、チコ・ハミルトン、マヘリア・ジャクソン、ルイ・アームストロング・・・などなど。

やや白人ミュージシャンに偏っている感はありますし、女性ボーカルが多い感じでもありますが、それが当時のセレクトと考えるとしょうがないのかもしれません。中でも、アニタ・オデイの熱唱は大変有名です。

また、面白いのはチャック・ベリーが登場するところ。人気が出始めたロックンロールが、進歩的なジャズの一部と捉えられていたことの現れと言えそうです。トリがサッチモ、大トリがゴスペルのマヘリア・ジャクソンということも時代ですね。

実は、この年映画に登場しませんが、この年のマイルス・デイビスのライブ盤があります。つまり、この1958年7月の時点で、まだまだマイルス、及びジョン・コルトレーンの人気は定着していなかったということに衝撃を受けます。

60年前の古き良き時代のアメリカの様子を見事に切り取ったドキュメントとしても、大変価値のある映像です。