そういう実験的演奏をやってきた代表格みたいな方が、ベーシストのチャーリー(チャールス)・ミンガス。パーカーらとも共演してきた、筋金入りのバッパーのはずなんですが、自分のリーダー作は一風変わったものが多い。
1956年録音の本作は、そういうミンガスの初期の代表作。作曲家として人々に認知された作品です。そもそもタイトルからして「直立猿人」という、およそジャズらしからぬロマンチックじゃない単語を使っている。
タイトル曲は、フリーとは違う前衛的な曲で、計算されたアンサンブルを聴かせます。不思議なムードが漂い、正直言ってよくわからない。
2曲目、スタンダードのガーシュインの名曲、「A Foggy Day」も不思議なアレンジ。アドリブになると、多少普通の感じになりますが、普通のブルージーな雰囲気を想像していると驚くしかない。
あと2曲は、やや普通。とは言っても、最後の大作「Love Chant」もテーマ部分についてはずっとモヤモヤした感じが続きます。
つまり、モーニンおじさんの一人としては、何がいいのかよくわからないけど、傑作とされているから聴いてみたというのが正直なところ。よくわからない、小難しい事をすると芸術的みたいな雰囲気に飲まれてしまっているところがある。
とは言っても、ジャズの必聴盤として高い評価を得ていることは間違いないので、一度は聞くべきアルバムであり、ここからミンガス・ワールドに突入するのもありなのかもしれません。