2020年7月26日日曜日

Art Farmer / Modern Art (1958)

ジャズ・ミュージシャンで「art」という名前はよく聞くんですが、アート・テイタム、アート・ペッパー、アート・ブレイキー、そしてアート・ファーマーの4人が有名どころ。

アート・ファーマーは後年のフリューゲルホーンを用いた柔らかいサウンドが思い出されるんですが、基本的にはハード・パップのトランぺッター。

とは言っても、バリバリに吹くというよりは流れるようなメロディアスなアドリブが特徴という印象です。時には物足りない感じもしますが、アンサンブル重視のコンボで力を発揮する。

そういう意味でも、ベニー・ゴルソンと組んだジャズテットの一連の演奏が、ファンキーなんだけど音楽的な完成度の高さでは、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャースを上回っていたかもしれません。

ただし、編曲に凝っていけばいくほどジャズの醍醐味は減ってしまい、限界は早くに訪れるというのは常であって、編曲と共に個人技にも重点を置いたジャズ・メッセンジャースよりも短命で終わってしまいます。

このアルバム「モダン・アート」は、ジャズテット結成前、ベニー・ゴルソンとの最初のコラボ作で、まさにジャズテット序章という感じ。ちなみにアート・ペッパーも同じタイトルの名盤を残しています。

もちろんアート・ファーマーのリーダー作ですから、彼のトランペット・スタイルを前面に出して、他のメンバーも脇役としてうまく立ち回って全体をまとめています。

特に、ピアノにはマイルスのもとに在籍中のビル・エバンスが参加しており、この後の活躍の足がかかりの一つになった演奏をしています。