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2020年7月13日月曜日

Art Pepper / Meets Rhythm Section (1957)

チャーリー・パーカーの影響は黒人だけでなく、白人ミュージシャンにも多大な影響を与えましたが、その中でも同じアルト・サックス吹きとしてアート・ペッパーもパーカー後のジャズの世界を引き継いだ一人といえます。

ウエスト・コーストを中心に活躍し、柔らかい滑らかな音色を特徴として、流れるようなアドリブが次から次へと出てくるところは、どの録音も聴いていて気持ちがいい。

ただしねペッパーもまた、薬物によって活躍したかと思うと社会から消えたりを繰り返した人。天才にはどうしても、今どきで言う黒歴史がつきまといます。

頭角を現しだした50年代初めの録音も素晴らしい物が多いのですが、代表作となるとおそらく文句なしにトップに躍り出るのがこのアルバム。

当時、マイルスのレギューラー・クインテットのリズム・セクションだった、ピアノのレッド・ガーランド、ベースのポール・チェンバース、ドラムのフィーリー・ジョー・ジョーンズの3人のリズム・セクションが参加したもの。

マイルスとの仕事だけでは食っていけなかったのか、この黄金のリズム・セクションはいろいろなアーティストの録音に参加していて数々の名演を残しましたが、その中でもこのアルバムは最高峰となりました。

おそらくマイルスの仕事で、3人がロスに来た時に組まれたセッションで、緊張しやすいペッパーには誰が伴奏に入るのかは知らされずに組まれていたようです。

出だしからして、数々の名演があるスタンダードの「You'd be so nice to come home to」からして、もうペッパーは快調に飛ばします。

ほとんど自分のテーマ・ソングともいえるオリジナルの「Straight Life」も、何度も録音していますが、この演奏が最高の出来かもしれません。

リズム・セクションはここでも快調ですが、日頃のマイルスとは異なる色のペッパーの演奏でも、まったく問題なく合わすところは合わせ、自分たちの色を出せるところはしっかりと出してきて手を抜きません。

ごく初期のステレオ録音で、楽器野左右の分離がはっきりしていますが、音はクリアで各楽器の動きがたいへんわかりやすい。

いつまでも、そして何度でも聴いて楽しめる、まさに名盤と呼べる一枚です。