西海岸らしい、開放的な明るい感じそのままの演奏は音楽ファンに広く受けいられ、大変売れた作品として当時のColumbiaにも多大な貢献をしたもの。
クラシック音楽の素養があるブルーベックは、ジャズの世界では珍しい、5拍子などの変拍子を取り入れ他の演奏かが真似できないどくどくな世界を作り上げています。
ですが、一般には名盤とされているんですが、ジャズのアルバムとしてはちょっと物足りない感じがしてしまいます。
実は、自分にとってはEL&Pとして活躍したキース・エマーソンがナイス時代に、冒頭の「Blue Rondo」をロック版にして演奏したのが知るきっかけでした。キーボードにナイフを突き立てる過激なパフォーマンスが有名でした。
当然、それに比べれば、本家はおとなしい演奏ですが、変拍子のテーマが合わるとアドリブは8ビートになって、真ん中は普通のジャズという感じ。
タイトル曲の「Take Five」は、5拍子で、テーマのメロディは広く知られている有名曲。ただし、これは共演の盟友ポール・デスモンドの作曲。変拍子ながら、考えられたデスモンドのアドリブに続くのは・・・ジョー・モレロのドラム・ソロです。
モレロも、変拍子の中で苦労している感じですが、まぁまぁ印象的な演奏をしているんですが、それが終わるとテーマに戻って終了。あれっ? ブルーベックは? というところで終了。
やはり、基本的にスイングするには変拍子は無理があるということが示されているように思います。後年のニューポートでのライブ演奏もありますが、ここではブルーベックもソロを取りますが、テーマをブロックコードで崩した感じで、あまり面白いものではありません。
とはいえ、「売れる」というのも「名盤」としての条件の一つであることは否定できませんから、必ず知っておくべき一枚としての価値は変わりません。