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2022年8月6日土曜日

俳句の鑑賞 3 松尾芭蕉


俳句に興味がなくても、知らない者はいないくらい有名ななのが松尾芭蕉で、俳聖とも呼ばれます。まさに、俳句を現形に完成させた人。

寛永21年(1644年)、江戸時代が安定し始めた頃に、伊賀国上野の赤坂(三重県伊賀市上野赤坂)で貧しい家に生まれた芭蕉は、29歳で俳諧師を目指して江戸にやってきます。神田上水道の整備の仕事をしたながら腕を磨き、35歳で俳諧の師匠として独立しました。

そして46歳で、棲家をたたみ弟子の河合曽良と共に「奥の細道」の旅に出ました。約半年をかけて江戸から奥州(東北地方)に向かい、反転して岐阜に至る行程で、多くの発句を今も詠み継がれる作品を残しました。わかっているもので900句ほどあり、おそらく芭蕉作と考えられているものを含めると1500句ほどと言われています。

古池や蛙飛びこむ水の音 松尾芭蕉

名月や池をめぐりて夜もすがら 松尾芭蕉

夏草や兵どもが夢の跡 松尾芭蕉

閑さや岩にしみ入る蝉の声 松尾芭蕉

五月雨を集めて早し最上川 松尾芭蕉

秋深き隣は何をする人ぞ 松尾芭蕉

物いへば唇寒し秋の風
 松尾芭蕉

俳句専門書ではなく、一般の教科書に掲載され、記憶に残っていた句を拾い上げてみました。芭蕉の全句からすれば1%にも満たない数ですが、積極的に勉強してないうちからこれだけの俳句を聞いたことがあるというのは驚きです。

これらは、教育を受けた日本人に意識するしないに関わらず、成長のベースのいくらかを形成することに役立っているのだろうと想像します。別の言い方をすれば、「日本人らしさ」の一部には、芭蕉の俳諧の精神が生き続けているのかもしれません。

教科書に載るくらいですから、いずれもその場の情景が眼前に広がり、様々な思惑が呼び起こされる名句ばかりなのですが、他にもユーモアの詰まった思わずクスっとなるような軽妙な句もかなりあります。

ネットには全句を掲載しているところもありますので、時間があるときに、文字だけを追うのではなく、ゆっくりと読み上げてみることでじわーっと浮かび上がってくる何かを感じることが出来れば楽しいこと間違いありません。