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2022年8月8日月曜日

俳句の勉強 19 一文字の季語

季語は5文字だと、上句か下句が丁度埋まって初心者には使いやすいということになります。ところが、必ずしもそうは問屋が卸さない。

歳時記の中から、一番短い季語を探してみました。赤、とか秋とか、漢字一文字の季語はすぐに思い浮かびそうなんですが、どちらも仮名だと二文字です。じゃあ、仮名でも一文字の季語は?

あるんです。五十音順で行きましょう。最初は「藺」です。こんな漢字知らんかったわぁ・・・というのが普通ですよね。「い」と読みます。湿地に自生するイグサ科の植物。畳とか茣蓙(ゴザ)の材料と言えば、わかりやすい。「う」は、鵜飼で有名な鳥の「鵜」。刺されて痒いのが「蚊(か)」で、飛んでくるのが「蛾(が)」。これらは全部三夏の季語になります。

「葱(ねぎ)」は普通に食材として一般的ですけど、これを音読みすると「き」となって三冬の季語に使えます。ざだまさしの小説「解夏」で有名になったので、「夏」を「げ」と読むのは知られていそうです。正式には夏の間修行に専念させる仏教の行事「安吾(あんご)」のことをで、単に「げ」と呼ぶことがあり三夏で使います。

「茅」は長野県茅野市というのがあるので、「ち」と読める。「ち」と読む場合は白茅(ちがや)と呼ぶ雑草のことで三秋の季語。晩冬の季語になる「氷(こおり)」は音読みで「ひ」として使うことができます。屁は面白いのですが、残念ながら季語ではありません。

「芽(め)」は春になって出てくるいろいろな植物全体で使える初春の季語で、正確には「ものの芽」となっています。そして最後が「ろ」ですが、二つあります。「羅」と書いて「うすもの」と読み夏用の薄い布で作った単衣ですが、これを別名「絽」と呼び晩夏の季語になる。反対に寒い時期、暖を取る「囲炉裏(いろり)」を単に「炉」と呼んで三冬の季語に使います。

歳時記の面白いところは、索引だけを眺めていても面白いというところ。膨大な項目が並んでいるのですが、こんな言葉に季節を感じるんだと感心してまうことがしばしばあります。ここにあげたもの以外にも一文字の季語を歳時記に載せている監修者の方もいるかもしれません。

短ければ、残り16文字を自由に使えるわけですから、出来れば積極的に利用したいものですが、短ければ短いなりになかなか使うのが難しかったりするんですね。


茅野入れば時偶(ときたま)句種拾いけり

茅のたくさん生えた平凡な野原でも、入ってよく観察していると、稀には俳句のタネになるような面白いことが見つかるものだ・・・という内容。

まぁ、初心者でも下手な鉄砲数撃ちゃ当たるみたいなところで、とにかく作句しないことには始まらない。有名な景勝地に行けなくても、その気になって見れば身の回りにも、はっと気づくことはあるはずです・・・という願望みたいな話です。