2022年8月18日木曜日

俳句の勉強 24 著作権

俳句も「短文学」と位置付けられるわけですから、当然できた作品については著作権が存在します。文学作品の著作権は2018年までは、作者の死後50年間存続するとされていました。現在は死後70年間と改められています。

ちなみに2018年までに著作権が切れたと判断されているものについては、そのままで延長はされていません。つまり1968年以後に亡くなった方から、70年間ルールが適用されるということになります。

さて、そこで俳句です。一般に、俳句は著作権はあるものの、それを引用することについて権利者の許諾は一般に必要ないものとされています。つまり一部を抜粋・・・とかって、17文字しかないので、抜粋したらもう何が何だかわからないことになるので、基本、全文引用しか使いようが無い。

例えば、俳句歳時記にはたくさんの例句が収録され、それが歳時記を持つ重要な要素ですが、このような場合には作者名があれば出典の省略も許容されています。またエッセイなどの中で使う場合も、主たる文章との関連性がはっきりしていればかまわない。鑑賞文や批評文についても同様の考え方が成立します。

また、投句したものが公開され、それが添削されて改変された場合は、投句自体が添削される可能性を前提に行われる行為として認められており、著作権侵害にあたらないとされています。

このブログでは、有名な俳人の句を引用していますが、必ず作者名は記載しています。また、その目的は、俳句を勉強・鑑賞するための自分なりのノートとして、関連性のあるものについて紹介しているので、基本的には問題は無いと考えていますが、1968年(昭和43年)以後に亡くなられた方や、現在ご活躍中の俳人の作品については、注意をしていきたいと思います。

作者を明記していない句は、当然、自分の作品。誰かが何処かで引用することがあるかもしれませんが、それに対して文句を言うことはありません・・・って、そんな奇特な人はいないでしょうけどね。


若鮎の二手になりて上りけり
 正岡子規

正岡子規が亡くなったのは 1902年(明治35年)9月19日で、この日は「子規忌」として季語にもなっています。すでに120年経っていますので、著作権は消滅しています。

鮎は晩秋に産卵し、生まれた稚魚が一度川を下ります。春になると、若鮎となって再び川を遡って来ると、二つの川の合流地点で鮎もまた二手に分かれるさまを描いています。「若鮎」は晩春、成魚となった「鮎」は三夏の季語です。産卵後は「落鮎」という三秋の季語で呼ばれ、川を下りつつ体力を消耗して死んでいきます。

6月になると禁漁が解禁され、鮎釣を楽しむ人々が繰り出しますが、旬の時期は7~8月なので、食べるなら暑い盛りがお勧めと言うことになります。