2024年6月23日日曜日

医療系ドラマ


テレビ各局が用意しているドラマ枠は、約50番組。現在は各季節ごとに完結するスタイルが主流ですから、年間で200本くらいの新しいドラマが「量産」されていることになります。

その中には医療系ドラマが必ずいくつか混ざっています。今は改変時期ですから、7月から始まるタイトルを眺めてみると、少なくとも4つくらいはありそうです。テレビ局も苦労していて、単純な医者が出てくるものはない。今回は、山岳だったり、繁華街だったり、いつもの法医学とか、2度目の天才外科医とかが登場するようです。

ただ、正直に言いますが、名作とされる「白い巨塔(もちろん田宮二郎版)」以来、少なくとも自分の知っている医療の現場からは、あまりにかけ離れすぎてリアリティの欠片すら感じられないものばかりで、ドラマに没入できるものは皆無と言ってよいくらいです。

もちろん医学の世界を隅々まで知っているわけではありませんから、中には本当にそんなこともあるのかもしれませんけど、とにかくあり得ない設定が多すぎる。

人気の高いものだとシリーズ化された「ドクターX」は、とにかく日本の医療システムではフリーランスの医者というのは基本的に活躍できる場所は限られ、特に大病院ではまずありえない。「私、失敗しないので」とか言い出したら誰も協力しないし、そもそもフリーランスでそれだけの技量を保つのは不可能に近いと思います。

放射線科が主役の「ラジエーションハウス」も、直接患者さんを診ることが無い放射線科の医師や、まして放射線技師が一つの事案に表立って行動する暇なんてあるはずがない。法医学者が主役の「科捜研の女」や「アンナチュラル」も、刑事の仕事を肩代わりするなんて想像を絶するものです。

となると、既存の組織にこだわらずドラマチックな部門を創設してしまうという路線があり、はなからリアリティは横に置いておくというのが「コード・ブルー」や「TOKYO MER」という現場で救急救命医療を実践してしまうというもの。

これらは、まだ最初からスリリングなアクション物としては見れなくはないのですが、やはり現実に現場でできることは限られていて、いくら何でもそりゃないよと言いたくなることが多々あります。特にあり得ないのが研修医の活躍。

若く未熟な研修医が、いろいろ悩んで成長するというのは定番の展開ですが、日本の研修システムでは、研修医にそこまでさせるというのはあまりに無謀すぎるし、いくら勉強していてもそれだけ医療行為を行えるまでになるのは無理すぎるというものです。

まぁ、そんなかたいことを言わずに、あくまでもエンターテイメントなんだから楽しみなさいよと言われそうですが、やはりどうしてもリアルが気になってしょうがないのです。