これ、原作は百田尚樹。なんか、硬派な小説ばかり書いて、時には過激な発言で注目を集める人という印象なんですが・・・まぁ、意外なことに、これは普通じゃないけど恋愛小説の部類に入るもの。監督は胸キュン映画が得意な三木孝浩、脚本は坂口理子。
木山慎一郎(神木隆之介)は幼い時に飛行機事故にあい、一緒に搭乗していた両親を失いました。今は遠藤哲也(時任三郎)と妻の美津子(斉藤由貴)が経営する車の整備工場で、仕事だけが生きがいのような生活を送っていました。
ある日、他人の体か透けて見え、その人物が直後に車にはねられて死亡します。寿命が尽きそうな人がわかることに気がついた慎一郎は、携帯ショップで桐生葵(有村架純)と知り合います。
葵の手が透けて見えたため仕事終わりに喫茶店に呼び出しましたが、手は元に戻っていました。実は葵がそのまま帰宅していたら、帰り道の工場火災に巻き込まれていたのでした。しかし、慎一郎は強い胸の痛みを感じます。さらに遠藤も透けて見えたため、死の直前を助けるのでした。
強烈な胸の痛みに襲われ病院に行った慎一郎は、医師の黒川(北村有起哉)と知り合います。黒川は慎一郎の能力を知っていて、自分も死ぬ人の体が透けて見えると話す。この力は強い精神的ストレスによって発生する「フォルトゥナの瞳」であり、他人の運命に立ち入ると、その分自分の体を傷めることになる。だから、自分は一切見ても見ぬふりをして関与しないことにしていると話します。
自分の力を葵に話した慎一郎でしたが、葵は理解を示し、慎一郎にもやっと楽しい日々がやってきたように思えました。しかし、再び、慎一郎はいろいろな場所で体が透けている人々をみるようになります。そして、それが葵が通勤に使っている電車を利用する人々であることに気がつきます。
黒川からこれ以上他人の運命に介入すると自分の命が無くなると忠告されますが、葵の体が再び透けて見えたため、何とか葵の命を守ることを決意するのでした。
恋愛小説と言ったのは、運命によって導かれた二人が恋人になって、訪れる運命に立ち向かうということなんですが、確かに一風変わっています。人の生き死にがわかる超能力をからめたことで、ちょっとSF調というか、ファンタジーというか、不思議な色彩に包まれた映画です。
ものすごい傑作とはいいませんが、何しろ神木隆之介と有村架純のお互い訳アリの演技に見入ってしまいます。その訳は最後の最後にわかるんですが、とにかく二人の演技の見事さで最後まで見続けられる映画です。もっとも、そこが監督の力かもしれません。