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2024年6月24日月曜日

劇場版 TOKYO MER -走る緊急救命室- (2023)

というわけで、医療系ドラマの一つ「TOKYO MER -走る緊急救命室-」が映画化されました。もともとはTBSテレビの日曜劇場で2021年に全11話で放送された連続ドラマですが、2022年6月にSPドラマが放送され、2023年についに劇場版が登場しています。

主要キャストはすべて一緒。監督はドラマでも半分を演出した松木彩。シリーズすべての脚本は黒岩勉が担当しています。連続ドラマでは、東京都知事の赤塚梓(石田ゆり子)の構想により、東京海浜病院に創設されたEMR(東京モバイル・エマージェンシー・ルーム)のもとに集められたのはチーフで専任の喜多見幸太(鈴木亮平)、厚生労働省医系技官の音羽尚(賀来賢人)、麻酔科医の冬木治朗(小手伸也)、研修医の弦巻比奈(中条あやみ)、看護師の蔵前夏梅(菜々緒)、ベトナムから研修で来日した看護師のホアン・ラン・ミン(フォンチー)、そして臨床工学士の徳丸元一(佐野勇斗)らの7名の活躍と成長が描かれました。

連続ドラマで余裕がありますから、例によって研修医弦巻の活躍っぷりはちょっと現実味が無いのですが、それを補って余りある横糸が張り巡らされていました。その一つが、喜多見の過去。「待っていては助けられない命がある」を信念に、苦しんでいる人がいれば老若男女・職業・善悪に関係なく、危険な現場に飛び込んでいくという、医療アクションドラマとしてよくできていました。

もう一つは、これはややありきたり感がありますが、都知事の先行に苦々しい思いを持ち計画を潰したい厚生労働省側の大臣(渡辺真起子)や官僚(鶴見慎吾)たちとの対立があります。音羽は、MERの問題を明らかにするために送り込まれたのですが、次第に喜多見に感化されていくのです。

見物は、救急処置や緊急手術の場面なんですが、北里大学の救命センターが全面的に協力して、実にやっていることはリアル。最新の部分はよくわからないところもありますが、自分も大学で救急車と格闘していたころにやったことがあると思い出し、そうそうと拍手したくなったり、いやいやもうちょっとこうした方が良くないかと思い見入ってしまいました。

さて、劇場版は舞台は横浜ミナトミライ。ランドマークタワーで放火による大規模火災が発生し、上層階に193名が取り残されるという事件が発生します。連続ドラマの最期にMERを離れた音羽が、あらたに厚生労働省管轄の全国規模のMER設置を計画し、その第一号として発足したヨコハマMERが登場します。

エリート集団のヨコハマMERのチーフは、女性の鴨井友(杏)で、喜多見の自分だけでなくチームを危険にさらす状況に対して「危険を冒しても救えない命がある」と否定し対立を深めます。

取り残された人々の中に、喜多見の妻で妊娠中の心臓外科医、高輪千晶(仲里依紗)とチームの夏梅がいることが判明し、物語はさらに緊迫度を増していきます。喜多見らトウキョウMERは、東京消防庁レスキュー部隊の千住(要潤)らと共にビル内に突入していくのでした。

映画は2時間勝負なので、ドラマの時のような複雑な設定が無く、ある意味いたって常識的なヨコハマMERとの対立の軸しかありません。研修医だった弦巻はしっかり成長していて、代わりに新たな研修医の潮見知広(ジェシー)が加わっていますが、危険におじけづいて後方支援に回される辺りはある意味リアリティがあります。

シリーズ全般を通して感じるのは、手に汗握るよくできたストーリーだと思いますが、医者としては「待っていたら救えない」のは理解できますが、「テレビだから救えている」という部分があることは間違いなく、ヨコハマEMRの立場の方がわかりやすい・・・けど、それじゃ、ドラマとしては面白くなりませんね。