2025年1月13日月曜日

グーグーだって猫である (2008)

大島弓子のエッセイ風マンガが原作。13年間一緒に暮らした愛猫サバが死に、新たな猫グーグーを飼い始めたことを中心に、日常を描いています。これを「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心が脚本・監督して、原作とは異なるオリジナル・ストーリーとして実写化しました。

吉祥寺に住む漫画家の小島麻子(小泉今日子)は、愛猫サバが死んでしまい仕事への意欲を無くしてしまいます。アシスタントをしているナオミ(上野樹里)、加奈子(大島美幸)、咲江(村上知子)、美智子(黒沢かずこ)は、落ち込んだままの麻子が心配でなりません。

ある日、ナオミは麻子がペットショップに入っていくのを目撃します。麻子は偶然目が合ったアメリカンショートヘアの子猫を気に入り、家に連れて帰りグーグーと名付けました。ナオミは、麻子に彼氏がいないことも心配し、たまたま知り合った沢村清自(加瀬亮)を引き合わせます。

グーグーを街に出してみると行方不明になり皆で探したりしているうちに、麻子も新作を書く元気が出てきました。しかし、そんな時、麻子は倒れてしまい病院で卵巣がんの診断を受けるのでした。しかも、担当した医師は沢村でした。ナオミがグーグーを預かり、治療に専念する麻子でしたが・・・

主役は麻子を演じる小泉今日子ですが、実質的な狂言回しはナレーションもつけている上野樹里のナオミです。小泉はセリフらしいセリフは最小限になっていて、むしろ表情や動作によってすべてを表現する難しい役処と言うことができます。

元がエッセイですから、映画用のストーリーが組み立てられているものの、吉祥寺の街並みや人々の生活を拾い上げていく部分がゆったりとした心地よい映像と音楽によってつづられていきます。人気のある土地ですが、より吉祥寺に住みたくなる雰囲気はうまく表現されているように思います。

ただし、ストーリー性を出したことで、「猫の映画」という部分はだいぶ薄くなってしまいました。これは原作のファンからするとかなり期待外れだったのではないかと想像できます。だからかどうかはわかりませんが、犬童一心は2014年、2016年にWOWWOWで、宮沢りえを麻子に起用した映画とは別のドラマ(全9話)を作成しました。

どちらが良いというより、小泉には小泉の麻子、宮沢には宮沢の麻子が登場している感じで、麻子中心に見るなら映画、グーグー中心に見るならドラマがおすすめという感じでしょうか。いずれにしても、ほんわかした癒し系の味わいが楽しめます。