越谷おさむの恋愛ファンタジー小説を原作として、三木孝浩が監督、菅野友恵と向井康介が共同脚本を担当しました。
広告代理店に勤めている奥田浩介(松本潤)は、クライアントの下着メーカーを訪れ、中学校の同級生だった渡来真緒(上野樹里)と10年ぶりに再会します。真緒は勉強ができず、外見もまったく気にしない女の子で、バカにされいじめられていたところを浩介が助けたことで仲良くなりました。しかし、そのために浩介も孤立してしまう苦い過去があったのです。
浩介はクライアントの希望を叶えるために奔走し、真緒も協力していくうちに二人は次第に距離を縮めていきます。真緒は浩介を両親に引き合わせ結婚したいと言いますが、父親が反対したため、二人は駆け落ち同然で婚姻届けを出し新居のアパートに引っ越します。
その頃から、次第に真緒の体調が少しずつ悪くなっていきました。真緒が仕事中に動けなくなったために、先輩の新藤(玉山鉄二)が送っていく途中、もう大丈夫という真緒がタクシーを降りたのは江の島でした。江の島の奥の古びた一軒家に向かう真緒は、猫に囲まれた老婆(夏木マリ)と話し込むのです。老婆は「もう時間は無い。年を越すのは無理だろう」と言います。
真緒は浩介に今すぐ旅行に行きたいと言いますが、浩介は年内は休めないと返事します。ある日、隣の部屋から助けを呼ぶ声が聞こえてきました。隣のこどもが4階のベランダから落ち、母親が必死で手を掴んでいたのです。浩介は助けようと手を差し出しますが、こどもは母親の手から滑り落ちてしまいました。
その時、真緒がベランダから飛び出しこどもを抱きかかえて一緒に落下しますが、地上に降り立った二人は無傷でした。そして、そのまま真緒は姿を消してしまいます。浩介は真緒の行方を捜しますが、誰もが真緒を知らないと言うのです。
序盤から真緒の正体は少しずつ小出しになっているので、誰でも気がつくと思います。中学時代の浩介と真緒を演じるのは北村拓海と葵わかなで、感情を共有するため中学時代のシーンの撮影でも松本と上野は参加していたそうです。浩介の弟で菅田将暉が顔を出しています。
恋愛ドラマとしては、お互いに口に出すことは無く少しずつ想いが伝わっていく感じが好ましいのですが、ファンタジードラマとしては、どうしてもちょっとひっかかるところが悩みの種です。原作がそうだからしょうがないのですけど、そのまま普通の「男女」の物語であれば最後で泣ける気がしました。