2025年1月3日金曜日

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 (2007)

世にいう「バブル景気」とは、1986年~1991年の日本での経済拡大期間のこと。土地価格や株価などの資産が急速に高騰し、人々は好景気に浮かれたわけですが、政府が1990年に土地関連融資を金融機関の貸し出し比率の伸び率を下回るように規制(総量規制)したことにより、急激な景気後退を招きバブルが崩壊する引き金になりました。

実は、自分はバブルをまったくと言っていいほど実感していません。何故なら、この期間はまさに研修医として、ほとんど家と病院を往復するだけで精一杯の生活をしていたから。この間に有名になった尾崎豊などは、「それは誰?」という感じで、亡くなっても何で世間が騒ぐのか理解できなかったものです。

そんなわけで、このバブル期を象徴的に描いた映画については、ほとんど別世界の話みたいなもので、ほとんど懐かしさなどは感じないわけで、単なるタイム・トリップ物以上でも以下でもないというところ。

話を作ったのは、ホイチョイ・プロダクションズ。馬場康夫を中心としたクリエーター集団で、その人気の原点はマンガ連載された「気まぐれコンセプト(1984)」で、さすがにこれは知っていました。その後は、まさにバブルに基づくミーハー文化を絵に書いたような映画を立て続けに製作していました。本作も馬場康夫が監督し、脚本は「踊る大捜査線シリーズ」の君塚良一が担当しています。

1990年、大蔵省の芹沢金融局長(伊武雅刀)は、バブルにより地価が高騰し人々が家が持てなくなったことへの対策として総量規制を発表したため、その後日本経済は急速に停滞し、2007年の時点では借金が膨らみ数年後には国が崩壊する危険が迫っていました。

財務省の下川路功(阿部寛)は、昔の恋人で電機メーカーの開発を担当する田中真理子(薬師丸ひろ子)が、偶然にドラム式洗濯機がタイムマシンとして機能することを発見したことを知り、1990年に戻って総量規制を阻止しようと計画します。しかし、トリップした真理子は定期的に昔の新聞に写真を乗せることで無事を知らせていましたが、突然消息不明になってしまいます。

母が急にいなくなって死んだものと思っていた娘の真弓(広末涼子)は、下川路から真理子の救出とバブル崩壊阻止の使命を託されます。1990年にトリップした真弓は、あまりの浮かれる人々に驚き、大蔵省官僚だった頃の下川路に助けを求めます。しかし、当時の下川路は、女と見れば誰にでも声をかける軽薄な男で、当然、真弓の話など全く信用しようとしません。

2人がティラミスを食べていると、そこへ1990年の真理子が飛び込んできます。真理子は自分を見張る連中がいるのはあなたの差し金なのかと、下川路を問い詰めます。そして、黙っていたけどあなたとの子を育てているんだから放っておいてと言うのでした。

やっと真弓が真理子の子であり、そして自分が父親だということがわかった下川路は、真弓と真理子を守るため立ち上がるのでした。

そもそも過去に起こったことを積極的に変えようというのですから、タイム・トリップの原則はほとんど無視しているストーリーで、ホイチョイが昔を懐かしんでバブルを描くためにとってつけたようなもの。ですから、あまり細かいことは気にしていたらダメダメな映画です。

バブルを享受した方は昔を懐かしめばいいし、現代の若者や自分のようなバブルを実体験しなかった者はそんな時代があったのかという思いで見るしかありません。バブルを象徴するようなタレントもカメオ出演していて、見ればそれなりに大変楽しい映画です。