2025年1月2日木曜日

オリジナルで勝負する脚本家たち

昨年もたくさん映画を見て、その覚書をここに書き綴ってきましたが、去年の収穫は監督だけではなく脚本家の仕事の重要性を再認識したこと。

ほとんどの映画では原作があったりするものですが、昨今はそのほとんどがマンガになってしまっていることはちょっと心配です。何故なら、マンガを否定するつもりは毛頭ありませんが、マンガはすでに視覚的イメージができているため、実写化された場合の評価が難しくなってしまうからです。

もちろん、小説だとしても、読者には一定の映像が浮かんできているかもしれませんが、マンガはその比ではありません。大袈裟な言い方をすれば、文字文化の衰退、さらに云えば本を読まなくなってきた日本人は、次第にイマジネーションが衰退していくのではないかと心配になります。

まぁ、そんな偉そうなことを言える立場ではないことは重々承知なんですが、商業文化である映画産業がヒットした作品を映画化するのは当然ということでしょう。膨大な製作費をかき集め、それを上回る興行収入を得るためには、すでに高い評価を得ている素材を使った方が失敗が少ないと考えるのは間違ってはいません。

そういう意味でオリジナルの脚本を書き上げる方々というのは本当に、すごい人たちだなと思います。過去には山田太一、向田邦子といったピッグネームも存在していました。まだまだ把握しきれていませんが、現代ではそのごく一部の作品しか知らないのですが、昨年「ラストマイル」で注目された野木亜紀子を筆頭に、オリジナル作品を中心に執筆されている脚本家は注目に値することを知りました。

野木作品は、映画では「ラストマイル」が初めてですが、テレビドラマでは2018年の「アンナチュラル」から始まり、「獣になれない私たち」、「フェイクニュース」、「コタキ兄弟と四苦八苦」、「MIU404」、「フェンス」、「海に眠るダイアモンド」、そして本日放送の「スロウトレイン」とすべてがオリジナル作品です。

岡田惠和も、主として恋愛物を中心にコンスタントにオリジナル作品を執筆しています。特に注目度が高くなっているのが宮藤官九郎。昨年は「不適切にもほどがある」、「新宿野戦病院」の2つオリジナルのテレビドラマで注目されました。

古沢良太はドラマでは「リーガル・ハイ」や「コンフィデンスマンJP」といったヒット作を生み出し、映画でも「ミックス。」、「レジェンド・バタフライ」といったヒット作も書き、一作一作が注目される活躍をしています。

作品にムラがあるように思いますが、三谷幸喜も監督兼任でまさに自分の脚本を映像化しています。テレビでは、「新選組」、「真田丸」、そして「鎌倉殿の十三人」と3本の大河ドラマを書いており、映画では独特のギャグをふんだんに織り込んでいて、その力量は認めざるをえません。

文字文化だけを評価する芥川賞や直木賞は、ある意味、現代ではじり貧になるかもしれません。映像こみで届けられる映画やドラマが、文芸の中心的な担い手になるチャンスがある時代に、オリジナル脚本で勝負できる人材が増えることはとても重要な事のように思います。