2025年5月25日日曜日

きな子〜見習い警察犬の物語〜 (2010)

2002年に香川県の丸亀警察犬訓練所で生まれたラブラドールレトリバーのきな子は、警察犬になるべく訓練を受けるものの、そのズッコケぶりがたまたま地元のテレビで紹介されたことから人気者になりました。2010年の7回目の競技会で優秀な成績を出し、2011年にやっと正式に警察犬になりました。

この映画は、きな子と訓練士になるために共に奮闘する女性をモデルとして作られたもので、主としてフジテレビ系ドラマを手掛けた小林義則が監督、「シン・ゴジラの浜田秀哉が脚本を担当しています。

優秀な警察犬をたくさん育てた望月遼一(遠藤憲一)の娘、杏子(夏帆)は自分も訓練士になるため、母(浅田美代子)の反対を押し切って父の後輩、番場晴二郎(寺脇康文)の訓練所に見習いとして入所します。

訓練所は番場の妻の詩子(戸田菜穂)、料理好きの息子の圭太(広田亮平)、生意気な娘の新奈(大野百花)ら家族が協力して運営されていて、唯一の先輩訓練士として田代渉(山本裕典)がいました。

見習いは朝早くから夜遅くまで犬舎の管理ばかりで、犬を訓練するような時間はありません。番場も積極的に教えるふんいきではありませんでした。杏子は警察犬には向いていないとほったらかしになっているきな子を育てると決心し、田代に相談しながら少しでも空き時間を作りきな子と関わるようになっていきます。

初めての試験になりましが、きな子はジャンプを失敗したり匂いの嗅ぎわけができなかったりで、杏子はがっかりします。しかし直後にきな子は倒れてしまい、試験に向けて休む暇がなく過労によるものと判断されました。番場は試験の失敗はきな子が未熟なのではなく、訓練士が未熟だからだと杏子に言うのでした。

ただ、そのきな子が失敗する様子をたまたま取材していた地元テレビ局が放送したところ、きな子は人気者になりいろいろなイベントに呼ばれるようになるのです。杏子は、訓練士としてきな子を警察犬にできないことに心が折れ、訓練所を辞める決意をするのでした。

杏子が去ったことできな子も番場の家族も寂しい日々を送っていましたが、いつもは生意気なことばかりを言う新奈が、こっそりきな子を連れて杏子の元に向かうのでした。しかし、その頃香川県には暴風雨が迫っていたのです。

警察犬はドラマチックなストーリーが作りやすいのか、映画・ドラマに登場することが多いように思います。ただし、今作では訓練士と犬の未熟者同志の成長というよくある話ですが、大部分はノンフィクションらしいので、きな子と杏子がお互いに信頼を築いて努力することには敬服するしかありません。

ですが、内容は展開が強引なところが気になる。そもそも杏子ときな子が遊んでいるシーンは多いのですが、実際に訓練しているところはほとんどありません。番場も「勝手にどうぞ」と言ったきりで、まともに教えている場面が無い。警察犬と言う特殊な能力を引き出すためにはそれ相応の方法があるはずなんですが、これでは物足りません。

実在のきな子を知っている人からすれば、映画公開の時点ではきな子はまだ警察犬になれていなかったことは既知の事実ではあるのですが、映画の終わり方についても中止半端で「えっ? ここで終わり?」という感じです。

映画ですから、一から十まで映像で見せたり、台詞で説明したりする必要はありませんが、杏子ときな子の成長がテーマなので、その結末はもう少していねいに描いてもらいたかったと思います。結局、結が定まらないうちに起承転だけで作られた映画という印象でした。

2025年5月24日土曜日

旅猫リポート (2018)

「図書館戦争」の有川浩の小説が原作で、猫好きの青年が自分の生い立ちを猫と一緒に振り返り、もう涙なくしては見れない泣きの映画です。脚本は、原作者の有川浩と山田洋二監督作品の脚本を数多く手掛ける平松由美子が担当し、「弱虫ペダル」の三木康一郎が監督をしています。

宮脇悟(福士蒼汰)は、飼い猫のナナ(声・高畑充希)と共に車で旅に出ます。ナナはもともと野良猫でしたが、悟はしょっちゅう食べ物を分けてくれていました。ある時、交通事故にあったナナを悟が病院に連れて行き、それ以来ナナは悟の飼い猫になったのです。

ある事情でナナを飼うことができなくなった悟は、最初にナナを預かっても良いという小学校の時の友人だった澤田幸介(山本涼介)のもとに向かいます。幸介の父親は、幸介が拾った猫を飼うことを許さないため、ハチと名付けたその猫は悟の家で飼うことになり、家族の一員として大事に育てられました。

しかし、悟が修学旅行に出かけているとき、悟の両親が交通事故で二人とも亡くなってしまいます。親類が悟の処遇をなすり合いしている中で、母親の妹、法子(竹内結子)が毅然と引き取りを宣言するのでした。しかし、裁判官の仕事をしている法子は転勤が頻繁で猫を飼うことができないため、ハチは高松の遠縁に預けることになりました。

いまだに父親との関係がよくない幸介は、そのため妻も実家に帰っていたのです。ナナがいれば妻も考え直してくれるかもしれないと話すのですが、悟はそれならハチとの一件を引きづらないように、まったく新しい真っ新な猫を奥さんと探した方が良いと言ってナナを連れ帰ります。

預かりを申し出てくれた中学の友人は、たまたま飼い猫が増えてしまったので数か月待ってほしいと言ってきました。高校の友人だった、今では夫婦で動物ペンションを営む杉修介(大野拓朗)と千佳子(広瀬アリス)を訪ねます。

夏休みに高松にハチに会いに行くための資金を集めたい悟は、修介と一緒に千佳子の家の茶畑の手伝いをしたことがありました。その時に、ハチが事故で死んだことを知らされ、高松にはいく必要がなくなったという悟に、千佳子はちゃんとお別れをしに高松に行かなくては駄目だと言うのでした。

二人はナナを歓迎してくれましたが、修介が飼っている犬とナナがどうしても合いそうになく、無理と判断した悟は再びをナナを連れて法子の家に向かうのでした。法子は悟とナナのために、転勤のない弁護士に転職していたのです。しかし、悟に残されている時間はあまり無かったのです。

劇中で悟は大変な十字架を背負っていたことが明かされ、それでも両親や法子、たくさんの友人たち、そしてハチとナナに巡り合えたことで幸せに暮らしてきたことがわかります。猫は「家につく」と言いますが、ここに登場するハチとナナはいずれも悟にしっかりつくことで、お互いに信頼と愛情を持つ存在になっています。

まぁ、話としては作り過ぎというところはありますし、想定通りの結末に向かって話が進行していくところは、ひねりも何もありません。大事にしている猫を何で手放すのかという謎が少しずつ伝わって来て、わかっていても不覚にも心を動かされてしまいます。

ちょっとだけ残念なのは、猫の演技があと少し頑張れていればよかったかなと(作り手の忍耐が足りないということ)・・・相手は動物ですから、あまり贅沢なことは望んではいけませんね。それと福士くんが、ちょっと元気すぎるかなとも思いました。

2025年5月23日金曜日

豆腐の蒲焼


これはYouTubeレシピです。さらに元ネタがあるのかもしれません。

使ったのは木綿豆腐。

まず含まれている水分を減らすため、まな板とまな板の間に挟んで1時間ほどかけて、水を抜きます。

もともとの厚みが3cmほどあったものが、半分くらいになれば良しとします。あとは1cmくらいの短冊に切ったら片栗粉をかけて準備OKです。

フライパンに油をひいて、あとはじっくり焼くだけ。両面がきつね色になったら取り出します。

醤油、みりん、酒、砂糖を同量に煮詰めて、ショウガをほんの少し加えて竹を作ります。豆腐を戻してタレを絡めたら出来上がり。

外はかりかり・パリパリで、中はじわーっとして、楽しい食感です。味は、まぁ想像通りですけど、おつまみにもご飯のおかずにもなりますので、リバートリーに採用します。


2025年5月22日木曜日

中島みゆき / 歌会 Vol.1 (2025)

中島みゆきは、札幌の出身で1953年生まれですから、もう今年73歳。初めて知ったのは、1975年のヤマハのポプコン(Popular Song Contest)ですから、もうデヴュー以来の50年の付き合いということになります。

荒井由実に代表されるニューミュージックや吉田拓郎らのフォークソング全盛の時期に、ニューミュージックのような甘い感じがしない、でも普通のフォークとも何かが違うという、まさに中島みゆきワールドが最初期からありました。大半の歌がかっこつけた色恋沙汰がテーマになりますが、中島みゆきが作る歌はラブ・ソングでも人間の業のような深みが感じられるところが「かっこいい」感じがしたものです。

ですから、中島みゆきの歌では歌詞がすごく大事。一つ一つの言葉を噛み締めるような聴き方をしないともったいないので、そういう意味ではややハードルが高いかもしれません。今のようなサブスク中心で歌が使い捨てのように扱われている時代だからこそ、中島みゆきの存在感はより際立ってきているように思います。

本作はコンサートのライブ映像としては、「歌旅(2007)」、「縁会(2012-13」、「一会(2015-16」に続く4作目です。2020年にラスト・ツアーとして初めた「結果オーライ」がコロナ渦により開始してすぐに中止となり、2024年1月~5月に、東京・東京国際フォーラムと大阪・フェスティバルホールで行われた4年ぶりのコンサートを収録しています。

ステージの袖から颯爽と登場する、凛としたみゆき姐さんのかっこよさは健在。「結果オーライ」ツアーのセットリストの最後だった「はじめまして」からスタートして全19曲が歌われてます。歌声や動きはまったく変わりなく、今回も期待を裏切りません。

ただし、さすがに70代となって、良くも悪くもやや年を取ったなという印象はあります。一番の変化はずっと眼鏡を使用していること。ライブだけのことなら眼鏡はいらないと思うので、おそらく歌詞などを表示するモニターを見るためでしょうか。近眼鏡なのか老眼鏡なのかはわかりませんが、これだけで年齢を感じさせてしまうのはもったいなかったと思います。

中島みゆきの映像作品の嬉しいのは、必ず字幕付きで歌詞を確認できること。何て歌っているのかわからない歌手はたくさんいますが、中島みゆきは比較的よく歌詞を聴きとることができます。それでも、文字として表示できるとその内容のより深い理解が可能になりますし、何よりも本人が歌詞を大事にしていることが伝わってきます。

もう一点、毎回ビデオを購入する上で嬉しいのは、収録曲の重複が少ないということ。誰もが知っている一部のヒット曲は何回か登場しますが、ほとんどの曲は過去の映像作品と被りません。ライブと言うと、やたらとベスト盤的な選曲になりがちですが、中島みゆきの場合は、ライブと言えども一つのコンセプト・アルバム的な選曲がなされているのだろうと思います。

小田和正は声が出なくなっているのは明らかだし、吉田拓郎は引退してしまったし、松任谷由実も新作のペースはかなり落ちました。自分の青春時代に色を付けてくれたアーティストたちも、さすがに年老いてしまったのは当然と言えば当然ですが、中島みゆき姐さんはまだまだいけそうな気がするし、いくことを期待します。今回もあえて「Vol.1」としているからには、Vol.2、Vol.3・・・とやって欲しいですね。

2025年5月21日水曜日

ささささんじゅうどぉ~


昨日は、昼過ぎに気温は・・なんと30度にたっしました。
ひぇ~・・・体感温度は34゚cと出ていますが、恐ろしや恐ろしや。

昨年は、5月の最高気温は26.9゚cで、5月中に30゚なんてことはなかった。30゚を初めて超えたのは、6月14日のことです(それでも!!ですが)。

でも、実は2023年は5月に1日だけ30゚越えの日があったんです。とにかく、やばいことに変わりはない。

沖縄より早く九州は梅雨入りしたというし、もう季節はどうなることやら。米が不作なのは、もう従来の栽培方法が通用しないということなんでしょうか。

2025年5月20日火曜日

犬と私の10の約束 (2008)

「犬の十戒」は、世界中で知られるペットの犬と飼い主の約束のようなもので、この映画での主要なテーマとして用いられています。映画に出てきたのは以下の通り。

1 私の話をがまん強く聞いてくださいね
2 私を信じて 私はいつもあなたの味方です
3 私とたくさん遊んで
4 私にも心があることを忘れないで
5 ケンカはやめようね 本気になったら私が勝っちゃうよ
6 言うことを聞かないときは理由があります
7 あなたには学校もあるし友達もいるよね でも私にはあなたしかいません
8 私が年をとっても仲良くしてください
9 私は十年くらいしか生きられません だから一緒にいる時間を大切にしようね
10 あなたとすごした時間を忘れません 私が死ぬ時 おねがいします そばにいてね

川口晴・澤本嘉光が原作と脚本、「釣りバカ日誌」や「超高速! 参勤交代」の本木克英が監督をしています。

函館に住む斎藤あかり(福田麻由子)は、大学病院勤務医の父、斎藤佑市(豊川悦司)と母芙美子(高島礼子)と三人暮らし。ある日、芙美子が病に倒れますが、ちょうど家に舞い込んできたゴールデンリトリバーの子犬をこっそり病院に連れて行きます。

芙美子は、「犬の十戒」を守ってくれたら飼ってもいいと言ってくれたので、ソックスと名付けました。しかし、芙美子はそれから間もなく亡くなってしまいます。あかりはずっと悲しくて寝込んでいたので、首が動かなくなってしまうのですが、ソックスとの遊びの中で回復するのでした。

しばらくして、佑市が札幌の病院に転勤することになり、当面の間は寮に暮らすためソックスを、幼馴染の星進(佐藤祥太)に預けることになりました。しかし、クラシックギターを学んでいた進はパリに留学することになってしまいます。出発の日に佑市は飛行場にあかりを連れて行きます。しかし、途中で病院からの緊急呼び出しのため、あかりだけがタクシーで向かいましたが、間に合いませんでした。

ソックスは進の家を飛び出し函館に帰ろうとしますが、市電に紛れ込んだところを保護されます。あかりと佑市は連絡を受けてソックスを迎えに行くのです。佑市は大事な家族を傷つけたことを深く後悔し、病院を辞めて函館に戻りクリニックを開業することにしました。

獣医学部の大学生になったあかり(田中麗奈)は、進(加瀬亮)が帰国していて函館でリサイタルを開くことを知り、久しぶりに再会するのでした。卒業後、あかりは旭山動物園に就職し、ソックスとは離れ離れの生活になり、忙しさから次第に家に帰る頻度は減ってしまいました。

そんな時に、あかりは進が交通事故にあい、指が上手く動かせなくなっていることを知ります。あかりは、かつて自分もソックスに助けてもらったことを思い出し、進のところにソックスを連れて行き預けるのでした。しかし、ソックスには残された時間はあまりありませんでした。

犬の十戒は、一度でも犬を飼ったことがある人ならば、身につまされる思いになるものだと思います。自分の場合は、最後の戒だけは守れたのですが、他は十分だったと胸をはる自信がありません。

最後にソックスがどうなるのかは、当然想像できるわけですが、それでも犬の演技はかなり泣かせる上等なものです。映画やドラマに登場する動物たちは、本当によく訓練されていると感心します。

ほぼ真ん中あたりで、あかりと進の配役が変わるのですが、どちらも似た雰囲気なのであまり違和感はありません。ちょい悪な役が多い豊川悦司が、むしろとても「お父さん」らしいところが微笑ましい感じがします。

こういう映画を見て素直に感動できる気持ちは忘れないようにしたいと思いました。

2025年5月19日月曜日

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ (2009)

今でこそ旭山動物園の名前は知らない人はいないくらい有名になりましたが、以前は廃園寸前までになり、スタッフらの努力により復活したというのは、幾多のメディアでも取り上げられました。ここでは、一部オリジナルの部分も加味しつつ、実話に基づいた再生ストーリーが展開されます。脚本は與水泰弘、監督はマキノ雅彦。マキノ雅彦は俳優・津川雅彦の別名で、マキノ雅弘は叔父にあたります。

慢性的な財政難を抱える地方都市、北海道の旭川市では、市営の旭山動物園はお荷物になっていました。極寒の地ですから、冬季は休園となり、市長(平泉成)は園長の滝沢(西田敏行)に毎度嫌味を言うのです。

スタッフは、韮崎(長門裕之)、三谷(六平直政)、柳原(岸部一徳)、臼井(柄本明)らのベテランに、新たに新人として吉田(中村靖日)が加わりました。市長の姪、小川真琴(前田愛)は動物保護運動をしていて、仲間と一緒に旭山動物園に乗り込んできて、「檻に閉じ込めている動物を開放しろ」と叫ぶのです。

滝沢は、強い信念を持って動物園の意義を説き、檻に入れるのは動物たちを守るためであると話します。獣医学部の学生である真琴は、滝沢に共感し卒業すると動物園に就職するのでした。

ゴリラのカップルにこどもができないのは自分のせいと悩んだ柳原は担当から外れますが、間もなくしてメスのゴリラが病死してしまいます。チンパンジーがこどもを産んだことを喜んで、ゾウに報告に行った韮崎は近づきすぎて一撃され亡くなってしまいました。

敷地に侵入したキタキツネが持ち込んだエヒノコックスによって、残ったオスのゴリラが感染症になり死んでしまいます。市はこれ幸いと動物園の廃園を検討し始めます。スタッフは、冬には冬の見せ方があると冬季休園をやめ、夜行性動物を見せるため夜間の開園も行いました。各飼育員それぞれが、得意な動物の話を来園者の前で行うサービスをしたりして、何とか集客を増やそうとします。

町に出て動物園の存続を訴えるビラ配り、学校などを回って動物についての講演を行ったりしましたが、丁度市長が交代になったのを機に、滝沢は大勝負に出ることにするのでした。

こういうちょっと不器用ですが、熱い男を演じさせたら西田敏行はぴか一です。動物たちにも、スタッフにも分け隔てなく接して、信念を貫く園長にはぴったりの配役です。新人飼育員の吉田を演じた中村靖日も、一癖ある役柄ですが、うまくはまっています。

さすがに俳優たちが直接動物に触れるわけにはいきませんから、一部は人形や着ぐるみを使用しているようですが、あまり違和感はなく良く出来ています。動物が出てくる話は、かなり忍耐が必要なことが多いと思いますが、初監督作となったマキノ雅彦は、俳優としての多くの経験からか見事にこなして見せました。

2025年5月18日日曜日

クイール (2004)

2001年に発売された「盲導犬クイールの一生」は、1986年に生まれたラブラドールレトリバーのクイールが、「生みの親」、「育ての親」、「しつけの親」を経て盲導犬に成長し、1998年に亡くなるまでを、写真(秋元良平)と文章(石黒謙吾)で綴り、ベストセラーになりました。

2003年にNHKでドラマ化され、翌年映画版も公開されました。監督は松田優作のボディガードをしていた崔洋一、脚本は松田優作の盟友だった丸山昇一と当時崔の助監督だった中村義洋です。

5匹のラブラドールの子犬が産まれ、飼い主(名取裕子)は是非盲導犬にしたいと盲導犬協会に願い出ます。おなかに鳥が羽(クイール)を広げたようなブチがある一匹が、パピー・ウォーカーである仁井夫妻(香川照之、寺島しのぶ)に託され、人間との信頼関係を作るため「絶対に怒らない」環境で育てられます。

1歳の誕生日に、クイールは仁井夫妻のもとから訓練センターに連れて行かれます。訓練士の多和田(椎名桔平)は、マイペースなクイールに手こずりながらも、クイールの盲導犬としての資質を理解していくのです。

クイールをパートナーにすることになった渡辺満(小林薫)は、糖尿病で失明した頑固者で、はじめは犬に引っ張られるのは御免だと拒否しますが、次第に「クーちゃん」と呼び信頼するようになります。しかし、渡辺の家族にとってはクイールはペットであり、接し方を巡って小さなトラブルが頻発します。

3年目に、渡辺の糖尿病が悪化し透析が始まり、渡辺はクイールと街を歩くことができなくなりました。クイールは訓練センターに戻され、盲導犬のデモンストレーションをする役目をこなしていましたが、渡辺が亡くなったため盲導犬を引退することになります。

クイールは10歳の老犬となり、余生を過ごすため再び仁井夫妻のもとに帰り、大事にされて12歳の生涯を閉じるのでした。

日本の盲導犬の育成をする施設は多くはありません。その中でも、最も大きな施設が横浜市港北区新吉田町にある日本盲導犬協会の神奈川訓練センターです。地理的に近いため、港北ニュータウンでも実地訓練が行われていることが多く、その様子を見かけることがときどきあったりします。

視覚障害者のためのサポートとして、点字ブロックの埋設や音による注意喚起などは、珍しくはありませんが十分とは言えず、盲導犬を必要としている障害者の方は大勢いるそうです。しかし、犬の適性の問題から、実際に活躍できる盲導犬の供給はまったく足りていないのが実情です。

この映画は、クイールをモデルとして盲導犬がたどる一生をわかりやすく描いて見せてくれています。物語としての起伏や感動は必ずしも大きなものではありませんが、盲導犬を育てることの大変さの一端を理解する助けとなることは間違いありません。

健康が当たり前と考えがちですが、障害者の方が少しでも「普通」に生活できるためのパートナーとしての盲導犬の重要性を知るきっかけとして、原作の書籍やこの映画などを色褪せさせないことが大切だと思いました。

2025年5月17日土曜日

犬部! (2021)

片野ゆかの「北里大学獣医学部 犬部」が原作で、青森県十和田市で獣医を目指しつつ犬や猫のために活動するサークルについてのノンフィクションですが、すぐに漫画化されたり、テレビでも取り上げられ注目されました。犬にまつわる活動をして、犬に関連した作品が多い山田あかねが脚本、「真夏のオリオン」の篠原哲雄が監督です。

獣医学部5年生の花井颯太(林遣都)は、動物たちの命を救うことを強く願っていて、たとえ実習といえども犬を実験台にして死なすことはできないのです。教授に頼み込んで実習の代わりに、動物病院で徹底的に見学をしたレポートを提出するのです。

動物愛護センターを訪れ、多くの保護犬が殺処分されていることにも憤りを感じていて、同級生の柴崎涼介(中川大志)と共に子犬を連れて帰りました。花井と柴崎は、猫好きの同級生佐備川よしみ(大原櫻子)、4年生の秋田智彦(浅香航大)らと共に「犬部」を結成し、犬や猫を保護して新たな飼い主に譲渡する活動を始めます。

卒業した花井は東京で小さな動物病院を開業し、動物たちが少しでも元気になるなら、お金にならないこともなんでも引き受けていました。そこへ川瀬美香(田辺桃子)という女性が訪れ、犬たちを助けてほしいというのです。久米(螢雪次朗)が経営しているペットショップでは、久米が犬たちの世話をしなくなりひどい状態になっていたのです。

花井は久米からどうにもできなくなった犬たちを引き取りますが、久米はすぐに警察に窃盗として訴えたため逮捕されてしまうのです。とりあえず釈放された花井は、久米のもとを再度訪れ、話を聞くように言いますが、久米は聞く耳を持ちません。

よしみは大学の研究室に残って、治療薬の開発をしていました。秋田は父の動物病院を手だっていましたが、父親は動物保護については全く理解がありませんでした。花井は二人にも協力してくれるように頼みます。しかし、柴崎は卒業後動物愛護センターに就職し、少しでも殺処分される動物を減らそうと努力していましたが、無力さから次第に精神的に追い詰められ退職していました。

保護犬がどのような運命をたどっているのかという現実はしっかり描かれていて、確かに問題点として重みを感じることができます。多頭飼育による、動物たちの生存環境の崩壊も怖いと思いました。

殺処分される動物には何の罪もなく、そこには人間のエゴもかなりの割合で関与していることは、動物を飼っていない人もしっかりと知っておくべきなのかもしれません。

展開としては、学生時代と社会人になってからが頻繁に交錯するのがわかりづらい。やっていることから今なのか昔なのかわかることはわかるんですが、フラッシュバックの多用はそれほど効果的ではないように感じました。

主人公の動物愛護精神がやや極端なところがやや感情移入しずらいところなんですが、そもそもそんなに無料奉仕ばかりして経済的にはどうなっているのか気になってしまいます。ただし、川瀬美香の正体が判明した時は、けっこう感動的です。

コロナ禍り間に公開された映画はあまり話題になりませんでしたが、良作がたくさん埋もれてしまっているのはもったいないことです。この映画もそんな一本だと思います。

2025年5月16日金曜日

ねことじいちゃん (2019)

原作はねこまきによるコミックエッセイで、「家に帰ると妻が死んだふりをしています」の坪田文が脚本、動物写真家の岩谷光昭が初めて監督を務めています。舞台は愛知県の名古屋のすぐ沖合にある佐久島です。

島で教師を引退し妻(田中裕子)に先立たたれて一人で暮らす春山大吉(立川志の輔)は、飼い猫のタマと悠々自適の生活をしていました。友人は巌さん(小林薫)、高齢のおしゃべり仲間にはサチさん(銀粉蝶)、トメさん(小林トシ江)、そしてトメさんといつも喧嘩ばかりしているたみこさん(田根楽子)などがいました。

ある日、町から引っ越してきた猫好きの美智子(柴咲コウ)が、島でカフェを開きました。カフェはしだいに年寄りの寄り合い場所になり、皆の楽しみが増えました。診療所の若先生(柄本祐)、郵便局ではたらく聡(葉山奨之)ら若者も美智子目当てに出入りしていました。

大吉は、妻の残した書きかけのレシピノートを見つけると、空白のページを埋めるために、美智子や仲間の手を借りて料理に挑戦するのでした。息子の剛(山中崇)は、猫も連れてきていいから一緒に東京で暮らそうと何度も何度も連絡してきます。

聡はみんなが楽しめるイベントをやりたいと美智子に相談し、学校の体育館を借りてダンスパーティを開くことになりました。サチさんは、昔の巌との秘めた思い出があり、心からパーティを楽しみました。引きこもりのたみこをトメさんは強引に誘い出しますが、二人は互いに文句を言いながらも楽しいひと時を過ごすのでした。しかし、それから間もなくサチさんが亡くなってしまうのです。

とにかく、タマをはじめたくさん登場する猫たちの演技達者ぶりには脱帽です。さすが、動物写真のプロを監督に起用しただけのことはある。言ってみれば人間も動物ですから、岩谷監督は初めてにしては美しい風景を織り交ぜながら、人々のさりげない交流の機微をうまく映像化していると思いました。

大々的にすごいことを描いているわけではありませんが、ちょっとした人情、猫情がほのぼのとした雰囲気の中でストーリーに埋め込まれていて、猫好きではなくてもたいへん楽しめる作品になっていると思います。

2025年5月15日木曜日

Leslie Howard / Franz Liszt Complete Piano Music (2011)


クラシック音楽のCDを集めていると、ボックスセットが多くなる。何故つて、とにかく安いからです。昔のレコードの時代も、ポップス・歌謡曲が1枚2000~2500円だったのに対して、クラシックは1000~2000円の者が多かった。CDの時代になっても、ちょっと古い録音で、同じ作曲家や演奏家のものをまとめた全集がたくさん登場しましたが、1枚につき100~200円くらいという価格破壊で、いくらでもボチっとしてしまえそうな感じです。

とはいっても、何年もかかって一枚ずつ作った全集が完成した直後に発売される場合は、そんなにバーゲン価格というわけにはいきません。所有しているボックスセットの中で、一番高価だったのは、国際的に評価が高い鈴木雅明によるバッハのカンタータ全集で55枚組で10万円。一枚1800円くらいなので単売を買うよりは安いとはいえ、これはさすがに悩みまくりました。

じゃあ、一番枚数が多いのはというと、レスリー・ハワードというイギリスの音楽学者兼ピアニストが作り上げた、フランツ・リストの前人未到の記録的なピアノ独奏曲全集で99枚組です。リストと言えば、ショパンと並ぶピアノ・クラシックり巨匠ですが、普通の全集というとCDで15枚ほどです。


それが何で8倍くらいの量になっているかと言うと、異稿、改定稿、他人の曲のピアノ演奏用編曲などを集めまくったから。特に多いのはシューベルトの歌曲や、オペラの有名曲のビアノ独奏版です。一般によく知られている超高難易度の「練習曲集」などは数種類含まれていたりします。

つまり、超超超超超超・・・マニアックな全集なのです。録音としては、ここでしか聞くことができない曲が大量に含まれていて、大百科事典と言っても過言ではありません。

実際どうなのか・・・自分の耳には、どこが違うのかよくわからない同名異曲や、編曲版はあまり面白くはありません。素人の耳にも、とにかく弾いてみた的なやっつけ仕事のような演奏もあったりするので、研究者でもない限りまったく聴く必要はなさそうな感じがします。

購入してから10年以上経ちましたが、正直に言うといまだに有名曲を中心に1/3程度しか聞けていませんし、残りを聴く気力も湧いてきません。こうなると所有欲を満たすだけになってしまっていることは否定できません。

さぞかしプレミア価格になっているかと思うと、Amazonでも現在は中古ですら売られていないのでよくわかりませんが、あまりニーズはなさそうなので期待はできないかもしれません。

2025年5月14日水曜日

電車の広告


GWに東京に出る用事があったので、久しぶりに田園都市線に乗ったんですが、電車内の様子の変化に驚きました。

壁面の挟みまれた広告がほとんど無い。

新型の車両だったのか、広告があった場所には液晶パネルが、ずら~っと並んでいます。順繰りに映し出されているのは短いニュース数篇、天気予報、そして広告です。

ただ、一周3分程度なので、30分ほど乗っている間に同じものが何度も繰り返されるので、いい加減飽きてしまいました。

紙の広告もごくわずかにはありますが、存在感はかなりありません。それにも増して少ないのが中吊り広告、扉と扉の間に1か所しかありません。

コロナ禍の時期に交通機関利用者が激減して、いっきに広告が減ったことはありましたが、おそらくこれをきっかけの一つにして、紙媒体のメディアは激減したのではないでしょうか。

時代の流れ、と言ってしまえばそれまでですが、デジタル好きの昭和人ですけどアナログが無くなっていくのは寂しさを感じます。

2025年5月13日火曜日

茶の味 (2004)

石井克人は、多くのCMディレクターとして活躍していますが、1999年に「鮫肌男と桃尻女」の監督・脚本で注目されました。この映画でも、原作・脚本・監督・編集とほぼすべての役柄をこなして、4年間かけて作り上げています。

里山の町(ロケは栃木県芳賀郡茂木町)を舞台に、春野一家の日常をのんびりと描いています。起承転結は何となく有るような無いような、時々意味不明のシュールなシーンとユーモアを交えながら進行する作品です。

高校1年生の春野一(佐藤貴広)が全力疾走するシーンからスタート。一は片思いの女の子が引っ越してしまい、彼女が乗っている3両編成の電車を追いかけているのですが、間に合うわけもなく、頭の中から電車が飛び出して消えていくのです。

この冒頭からして、何だこれは?!的な状況で、妹の小学生の幸子(坂野真弥)は縁側に座っていて、右を見ると窓からのぞいていた離れのおじいちゃん(我修院達也)が窓を閉める。幸子が見るのをやめるとまた窓が開く、ということを延々と繰り返しています。それとともに、幸子の前には巨大な幸子が出たり引っ込んだりしているのです。

父親のノブオ(三浦友和)は催眠療法士で、母親の美子(手塚理美)は家でアニメーターの仕事をしています。おじいさんは急に独特な歌を歌ったり、美子の作画のポーズのアイデアを実演したりする、それなりに変わり者。

美子の弟で東京で録音技師をしているアヤノ(浅野忠信)が、しはらく同居していて、こどもたちに呪いの森の話をします。それはアヤノが小学生の時、森で土に半分だけ埋まっている卵を発見して、その上に野糞をしたら、血だらけの刺青をした男がいつも自分の周りに現れるようになったというもの。しばらくしてまったく姿を見せなくなったのですが、実はそれは人の頭蓋骨で、発見され上に乗っていた糞が取り除かれたため成仏できたらしい。

幸子は逆上がりが出来るようになりたくて、林の奥の今は立ち入り禁止になっている公園で練習をしています。もしかしたら、アヤノの話のように逆上がりが出来れば、巨大化した自分は現れなくなるかもという淡い期待を持っていました。

ノブオの弟の一騎(轟木一騎)も東京で漫画家になっていましたが、自分の誕生日祝い用だっと言って、アヤノの手伝ってもらい、おじいちゃんも巻き込んで「山よ、山よ・・・」と叫ぶ変な歌を作り上げました。

学校に鈴石アオイ(土屋アンナ)が転校してきて、一は一目惚れしてしまいます。アオイが囲碁部に入部したことを知ると、日頃からノブオやアヤノと碁を打っていたので、かぜんやる気を出した一も入部します。やっと、一はアオイと対局することができて嬉しくてしょうがない。帰り道は、雨が降っていて相合傘。バス停で別れるとき、一はアオイに傘を渡して、雨の中を嬉しそうに走り出すのでした。


・・・というシーンがこれなんですが、まぁ、実に楽しそうだこと。

美子の仕事は大成功で喜んだのも束の間、おじいちゃんが亡くなりました。おじいちゃんは家族の一人一人の様子を大きなパラパラまんがにして残していました。幸子のは、逆上がりができて笑っているものでした。幸子は再び公園に行って練習をしていると、やっとコツがわかって逆上がりに成功します。

すると巨大な幸子は消え、代わりに巨大なヒマワリが登場して、どんどん大きくなって幸子を飲み込み、日本を飲み込み、そして地球も飲み込んでいくのでした。宇宙でヒマワリは飛散すると、あとには美しい夕焼けが広がっていて、それぞれの場所でみんなが心静かに眺めるのでした。

まず、最近よく言われる「伏線回収」とかにこだわる人には絶対無理な映画です。ちょっと幸せな気分になれる何かほのぼのとした時間を過ごしたい方には、超おススメの映画です。美しい風景をたっぷりと見れて、ゆったりとした無駄とも言えるたくさんの間合いは、好きな人にはかなりはまると思います。143分という長めの作品ですが、自分はまったく飽きることなく見ることができました。

俳優さんたちの演技は、実に自然で気負いがなく、もしかしたら脚本にはセリフは書かれていなくて、全部アドリブじゃないかと思えるくらい普通の会話です。当然、説明っぽいセリフも皆無で、映像や前後の展開で見る者が想像することが期待されています。

だからと言って、この映画が描きたいことは何だとか、あまりつきつめて考えない方が良さそうな作品です。それぞれの年齢や立場によって、漠然と抱えている不安みたいなものをパッチワークのようにつなげていったものかもしれません。

2025年5月12日月曜日

チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像 (2014)

海堂尊原作の医療サスペンス「田口・白鳥シリーズ」の映画化、第3弾です。ただし、前2作と違って、これはテレビドラマ・シリーズの完結編として、テレビからの出演者が登場します。

2008年のseason 1が「チーム・バチスタの栄光」、2009年にスペシャルとして「ナイチンゲールの沈黙」、2010年にSeason 2で「ジェネラル・ルージュの凱旋」、2011年にSeason 3で「アリアドネの弾丸」、2014年にSeason 4で「螺旋迷宮」と続き、そしてFINALとしてこの映画が作られています。

映画は「螺旋迷宮」の流れを引き継いでの解決編と、「ケロべロスの肖像」の事件が同時に進行する形なので、ドラマを見ていないとややついていけないところがあります。テレビでは後藤法子が一貫して脚本を手掛け居て、 今井和久、星野和成らが演出をしていますが、映画でも同じスタッフが担当しています。

東城大学病院では厚生労働省と協力して、世界最高の性能を誇るリヴァイアサンと呼ばれるMRI機器を導入し、アメリカから東堂(生瀬勝久)を招聘してAi(オートプシー・イメージング、屍体の画像診断により解剖で解明できない死因を特定する技術)を積極的に推進する国際Aiセンターの発足が間近に迫っていました。

その頃、厚生労働省からAi推進担当として奔走していた白鳥(仲村トオル)の上司で理解者の船橋が、大学教授、製薬会社役員らと共に全部で9人が密室で謎の死を遂げます。意識不明で1人生き残った榊医師(二階堂智)は東城大学救命センターに運ばれ、速水(西島秀俊)や滝沢(松坂桃李)らの治療を受けることになります。

法医解剖で死因が特定できないため、東堂の進言により始動したばかりのリヴァイアサンでAiを行うと、重水による中毒死であることが判明し、Aiの有効性がはからずも証明されるのです。しかし、不定愁訴外来担当の田口(伊藤淳史)のもとに「センター開設式で、ケロべロスの塔を破壊する」という脅迫状が届くのでした。

田口に接近してきた雑誌記者の別宮(桐谷美玲)は、不審死を遂げた人々が過去の薬害事件の関係者であるといい、わかったことがあれば情報を提供してほしいといいます。白鳥は別宮の態度に不審なものを感じ、彼女もまた母親がその薬害の被害者の一人であったことをつきとめるのです。

阿部寛・竹内結子ペアの映画版に比べると、警察が(形だけですが)絡んでくるのは納得です。伊藤淳史の田口は、竹内結子に比べてかなり活発に行動していて、中村トオルの白鳥は阿部寛に比べてやや横柄さが少ない。テレビ向けに中庸な設定になったのかもしれません。その分、キャラの面白さは阿部・竹内に軍配が上がるように思います。

ただドラマを見ていない立場としては、やはり「螺旋迷宮」の流れが不自然で、一つの映画の中で別々の事件が同時進行しているような印象になるので、どちらかに集中したほうが中身が良くなったのではないかと感じてしまいました。

Aiは原作者がシリーズを通して命題にしているものなんですが、法医解剖よりも優れているのかと言えば、必ずしもそうではないと思います。両者には一長一短があり、相互に補完できるものだと思うので、ちょっと肩入れし過ぎのような気がしました。

2025年5月11日日曜日

肉汁ジュワ~・・・とならないハンバーグ


グルメ番組でハンバーグが紹介されると、もう決まり文句として登場するのが「中からあふれる肉汁」という誉め言葉。

でも、あれって、ふだん肉を煮たりすると出てくる、いわゆる「あく」として捨てまくっているやつです。それをありがたがるなんて・・・とは思いますが、ハンバーグでは実際見た目の美味しさがアップすることは間違いない。

ところが、家で作るとこれがなかなかうまくいかない・・・という経験は、料理する人ならみんな経験するところだと思います。

そもそも、肉は60゚c弱から変性が始まり、温度が上がるにつれて収縮していきます。この時に、肉から染み出る水分、血液、そして融けた油などが混ざり合ったものが肉汁です。

つまり、温度を60~70゚cに保てばいいわけですが、何しろ相手は挽肉です。しっかり中まで火を通すことは衛生管理上必須の事。また、高温で焦げるメイラード反応は、香ばしさをアップして肉料理の美味しさのポイントの一つです。

・・・と、理屈ではわかっているんですが、これが本当羅難しい。

今回はフライパンは使わず、丸めた生のハンバーグの表面を、まずバーナーで表面をあぶりました。これは香ばしさを出すことと、まず表面を収縮させて、中の肉汁が外に出にくくする目的です。

そして、加熱はオーブンを使いました。これがよくわからない。ググると200゚cで15分という目安があったんですが、厚みとかでいくらでも違ってくる。そこで予熱有の200゚cで20分という設定にしてみました。生焼けが怖いので、どうしても長めの時間をしてしまいます。

その結果・・・見事に肉汁は外に出きってしまいました。しっかり中まで火が通りまくった、美味しいハンバーグをいただくことになりました。

2025年5月10日土曜日

ジェネラル・ルージュの凱旋 (2009)

海堂尊のミステリー小説の「田口・白鳥シリーズ」を原作としているのが、映画やテレビドラマとなった「チーム・バチスタ」関連作品です。本作は、シリーズ3作目を原作として、テレビでも2nd seasonとして制作されています。監督は前作に引き続き中村義洋、脚本は斉藤ひろしと中村義洋が担当しました。舞台が同じ東城大学病院なので、1作目のキャストが引き続き登場します。

不定愁訴外来担当の田口公子(竹内結子)は、チーム・バチスタ事件解決の功績からか、不本意ながら病院長(國村隼)から院内倫理委員会委員長に指名されてしまいます。ある日、田口のもとに院内メールとして手書きの告発文が贈られてきました。

告発文には「救命センターの速水晃一(堺雅人)は業者と癒着している。婦長の花房(羽田美智子)も共犯だ」と書かれていました。速水はどんな救急依頼も断らず、ベッドが足りなければ強引に各科に患者を押し付けていくため、センター内からも他の診療科からも嫌われていたのです。

しかたがなく、関係者の聞き取りを始める田口でしたが、たまたま業者の磯部(正名僕蔵)が何かの包みを速水にこっそりと渡しているところを目撃してしまいます。そこへ救急車で運ばれてきたのは、交通事故に遭った厚生労働省技官の白鳥圭輔(阿部寛)でした。白鳥は下肢の骨折でギプスを巻かれて入院となりますが、田口に「俺とところに告発文が来た」というのです。

見ると、その告発文はワープロで作成されていて、ほとんど田口の受け取ったものと一緒の内容でしたが、ただ花房婦長の件は書かれていませんでした。白鳥は田口に、何が起こっているのか、あんたを助けてやると言い出して、車椅子で病院内をうろうろして、例によって関係者に高圧的・威嚇的・攻撃的に質問を浴びせかけるので、田口はひやひやし通しでした。

磯部はソフトボールの試合で田口と対戦した時の写真を、CDROMに入れて田口に渡します。しかし、そのすぐ後に磯部は屋上のヘリポートから転落死するのでした。事故も自殺も考えにくく、殺人の可能性が濃厚になったため、白鳥は経営効率ばかりを口にする三船事務長(尾身としのり)、精神疾患センター設立を画策する沼田(高嶋政伸)らの動向にも注目するのでした。

タイトルは、速水が救命のために「将軍(general)」のように振る舞い指揮をとることからきていますが、「ルージュ」の意味はは本編を見てのお楽しみです(ミステリーには直接関係はありません)。

救急医療は1次(軽傷)、2次(待機できる要入院)、3次(命に関わる、または高度医療が必要)に救急は別れていて、今は病院の能力に応じて救急車を断るということは「合法化」されています。しかし社会的な要請もあって、3次の現場では時には過酷な労働環境を強いられます。反面、患者さんが亡くなってしまうと診療費は回収できない場合も珍しくなく、病院の不採算部門と言われる場合もあります。

また、多くの予定で縛られている各科では、救急が割り込んでくると通常業務を圧迫する要因になることも当然あり、全体のコンセンサスがしっかりとまとまっていない病院では、この作品のベースになるような対立が起こり得るのです。それに対して精神科は、一般には机と椅子と電子カルテがあれば診療が成り立ち、コスパのよい代表的な診療科と言えるので、原作者の取材力の力は評価できるところです。

とは言え、殺人事件が疑われる段階で警察がほぼ登場しないというのは無理があります。白鳥・田口だけで速水の癒着の件の真相を究明するのはいいとして、エンタメ性を濃くするために原作には無い殺人事件を盛り込んだからには警察力は絶対に必要だと思います。

傲慢な白鳥が今回は比較的早くから登場し、お上の意向と関係なく救急に従事するスタッフから軽くあしらわれておちょくられるところは、阿部寛のコミカルな部分がほどよく描かれて楽しい場面になっています。

圧巻は、最後の大規模災害が発生して、病院が一丸となって受け入れるかなり長い時間を使った場面。直接ミステリーとは無関係ですが、救急医療とはどんなものかを端的に描いていて、ストーリー全体の真実味を底上げすることに成功していると思います。

2025年5月9日金曜日

チーム・バチスタの栄光 (2008)

2008年2月に映画が公開され、同じ年の秋ドラマとしてテレビでも放送されました。さらに、矢継ぎ早に映画もテレビを続編を製作したので、ずいぶんとこのタイトルは耳にしました。映画は、斉藤ひろしと蒔田光治が脚本、そして近年のヒット・メーカー、中村義洋が監督しました。

東城大学病院の心臓外科は、バチスタ手術の第一人者である桐生恭一(吉川晃司)を引き抜き、驚異の手術成功率でこの分野で一躍トップに躍り出ました。桐生をトップに、桐生の義弟である病理医の鳴海(池内博之)、バイパス手術の第一人者である垣谷(佐野史郎)、桐生を崇拝する助手の酒井(玉山鉄二)、麻酔科医の氷室(田中直樹)、人工心肺を操る臨床工学士の羽場(田口浩正)、手術室看護師の大友(井川遥)の7人でチーム・バチスタと呼ばれています。

心臓移植の代替として、バチスタ手術は肥大した心臓の壁を部分切除するのですが、成功率は一般に60%と言われていました。チームは成功率100%を誇っていましたが、術中死が3例続けて発生したため、桐生は病院長に調査を願い出ます。不定愁訴外来を担当して、いろいろな患者の愚痴を聞く役目をしていた田口公子(竹内結子)は調査を命じられ、しぶしぶ関係者をまわって話を聞くことにします。

鳴海は元々は優秀な外科医だったのですが、何故か桐生のサポートに徹しているのが不思議。垣谷は桐生が登場したことで、次期教授候補から外れて面白く思っていない。酒井は垣谷を軽視しているし、氷室は他の手術の麻酔もあり疲弊しています。羽場も急に怒り出す性格だし、大友は優秀な前任者と比較されて、感情の起伏が激しい・・・という具合に、全員が何かしら問題があるものの、明らかな原因はわからないままでした。

そこへ突然割り込んできたのが厚生労働省技官の白鳥圭輔(阿部寛)でした。白鳥は田口に、ただ聞いてるだけでは何もわからない、こちらからいろいろ仕掛けて、積極的に態度に出る部分が必要だと言い、再び彼らのもとを回り、かなり高圧的で意地の悪い質問ばかりをするのでした。そして、また次も死人が出るから、それまでに桐生と鳴海の以前の職場を調査すると言っていなくなります。

しかし、次の患者が前日に容態が悪くなったために、緊急にバチスタ手術が行われることになりました。田口も状況を監視する中で、白鳥の予想通り、患者は心拍を再開することなく死亡してしまうのです。

心臓手術は、術中に意図的に心停止を起こさせ、人工心肺によって患者の生命を保ちます。呼吸と心拍が停止している限られた時間内に心臓に対して手術操作を行い、終了したら人工心肺を停止して心拍の再開を待ちます。場合によっては電気ショックを用いるわけですが、この再開するかどうか見守る時間の緊張感はものすごい物だろうと思います。

映画ではこのスリル感はうまく描けているように思いましたが、そもそも何で白鳥がしゃしゃり出て来たのか、そしてそれを殺人だと考える理由などがはっきりしません。また警察ではありませんから、物的証拠は少なく状況証拠の積み重ねで推理していくという状況は、多少もやもやするところがある。

それでも、だれるところはなく、最後まで緊張感を持続させているのは監督の力量というところでしょうか。阿部寛と竹内結子はホームズとワトソンという役回りですが、原作では本来田口は男性です。ただし竹内結子の柔軟な演技力が幸いして、バランスの良いコンビになっているので、テレビの仲村トオルと伊藤淳史とは違った魅力がありました。

2025年5月8日木曜日

メゾン・ド・ヒミコ (2005)

監督は犬童一心、脚本は渡辺あやと言えば、「ジョゼと虎と魚たち」という名作を生みだした二人で、この作品でもゲイのための老人ホームという誰も思いつかない舞台で進行するヒューマン・ドラマを作り上げました。

かつで銀座で人気になったゲイバー「卑弥呼」のママ、吉田照男(田中泯) - 通称ヒミコは、急に店を閉じ、海岸沿いの古いホテルを買い取り、ゲイ専用の老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」を始めました。

町の細川塗装で働く吉田沙織(柴咲コウ)のもとに、しつこく電話をしてくる岸本春彦(オダギリジョー)が姿を現し、メゾン・ド・ヒミコで日曜日だけ雑用をするバイトをしてくれないかと頼んできます。実は沙織はヒミコの娘で、母と自分を捨てた父を許せないでいたのです。しかし、ヒミコが末期のガンで死期が近いことから、ヒミコのパートナーである春彦は、何とか父娘の関係を修復したかったのです。

メゾン・ド・ヒミコに通い出した沙織は、住んでいるゲイの老人たちと噛み合わず、時には嫌悪するようなことがありました。しかし、それぞれの老人には、それぞれのこれまでの人生があり、彼らがひたむきに生きてきたことを少しずつ知るのです。

近くの男子中学生たちは、そんな老人たちをバカにしてからかうことがしばしばあり、ついに道に面した壁に悪態を落書きします。沙織は細川専務(西島秀俊)に落書き消しの仕事を依頼します。やって来た細川に春彦は自分がゲイであることを告げ誘いをかけますが、細川は笑って受け流します。

入居者の一人である山崎は、女装をしたいが自信が持てないでいました。沙織は女性でもできない女装があるといい、好きな服や着たい服を着ればいいと話し、女装した山崎を町のクラブに連れ出します。しかし、かつての山崎の部下に見つかり、さんざんバカにされた山崎は倒れこんでしまうのです。沙織は激昂して「謝れ」と迫るのですが、春彦に止められます。そして春彦は沙織にキスをするのでした。

沙織は、ヒミコの持ち物の中から母親の写真を見つけます。それは離婚する前ではなく、比較的新しい写真であることに気がつき驚きます。沙織はヒミコに「母と私を捨ててすまないと思ったことはないのか」と尋ねます。ヒミコは「あなたのことが好きよ」と告白するのでした。

まず、ものすごく静かに時間が進む印象の映画です。音楽を担当したのは細野晴臣ですが、本当に珍しいくらい途中で音楽が流れません。音楽で盛り上げて登場人物の心情を表現してやろうなんていう、多くの映画に登場する姑息な手段を潔いくらい使いません。人物の一言一言、一挙手一投足に多くの意味があり、その合間の無の時間にもいろいろな意味を持たせているようです。

ゲイ専用老人ホームという特殊な環境の下でのストーリーですが、実際は長年のわだかまりを持つ父娘の話であり、弱者となった人々の互いを思いやる心の大切さについての話です。

それにしても、本来舞踏家だった田中泯の演技には脱帽するしかない。俳優としての仕事は2002年の「たそがれ清兵衛」が初めてで、まだまだ「新人俳優」の時期のこの作品で、ヒミコという他のゲイとは一線を画するカリスマ性を見事に演じていると思います。舞踏家として、言葉抜きの全身を使った表現者の面目躍如というところでしょうか。

2025年5月7日水曜日

病院へ行こう (1990)

監督は「おくりびと」の滝田洋二郎、脚本は「私をスキーに連れてって」の一色伸幸です。病院を舞台にしたバブル期の「あほくさい」ややブラックなコメディ・ドラマ。医療の中で起こる様々なことを皮肉っぽく描いています。

広告代理店で働く新谷公平(真田広之)は、仕事を理由に妻の春子(斉藤慶子)のことはほったらかし、愛人を作って好き放題の生活をしていました。ある夜、新谷は帰宅すると春子が見知らぬ男と下着姿で野球拳に興じているところに出くわし、揉み合いとなって階段を転げ落ちて大学病院に搬送されます。その日は春子の誕生日だったのです。

救急の当直だったのは吉川みどり(薬師丸ひろ子)で、点滴すらまともにできない超新米の研修医でした。大腿骨骨折で入院となった新谷の隣のベッドには、なんと如月(大地康雄)という一緒に転落した男が入院していました。そこへ春子が訪れ、新谷には無言で離婚届、如月には「ご迷惑をおかけしました」とお菓子を置いて去っていきます。

手術は無事に終わったものの、仕事のストレス、春子との関係、隣に寝ている如月などのストレスが積もり積もって、新谷は胃潰瘍を発症。自分はガンなのではないかと、さらに疑心暗鬼になっていくのです。

一方、如月は手術せずに快方に向かっていましたが、胸部のレントゲン写真で、怪しい影が見つかるのです。みどりはそのことをまともに伝えられずもじもじした態度をしていたことから、如月はみどりが自分に気があると勘違いしてしまうのでした。

みどりの彼氏役は尾身としのり、同じ病室の個性的な面々には螢雪次朗、ベンガル、荒井注らがにぎやかに登場します。

薬師丸ひろ子は、ブームが落ち着き演技者として成長していく過渡期の作品だと思います。真田広之はアクション俳優として人気が出ましたが、薬師丸より早くに転換期を迎えていて、ここでも新たな一面を見せて楽しませてくれます。

例によって、ちょうどこの映画の次期に研修医をやっていた医療関係者の立場からすると、ずいぶんとあり得ないストーリーを作ったものだと思います。まぁ、ドラマだからと割り切ればいいんですが、どうしてもあらが見えてしまいます。また、この頃の映画の独特のテンポみたいなものがどうしてもピンと来ない。

まぁ、昭和から平成に時代が移り変わる頃の世相を眺める程度にはいいんですが、出演者のファンでなければ見なくても困らない映画の一つというところでしょうか。でも、それなりにうけたということか、小泉今日子主演でPart 2も作られています。

2025年5月6日火曜日

やます家 @ センター南


センター南周辺では、名店「おおつか」が閉店して1年。近場で美味しい蕎麦を食べれないとがっかりしていたんですが、意外と近くに古い店を発見しました。何で今まで見つけられなかったんだろう? と、不思議なんですが、やはりネット検索の穴みたいなものがあるんでしょうね。

と、とうわけで、センター南駅の南東方向、直線距離で500mくらい、茅ケ崎南3丁目の住宅街にある「やます家」さんに出かけました。セブンイレブンの対面の道を入ってすぐなんで、場所はみつけやすい。

外見は古くからありそうな一軒家で、いかにも蕎麦屋と言う感じ。椅子席と座敷の両方があって全部で30席弱くらいでしょうか。初めて行く店では、必ず天ぷらとざるをたべることにしています。なので、今回も注文したのは天ざるで1300円。

蕎麦は白い更科風ですが、太さはあります。やや蕎麦の香りが少ないように思いましたが、すべすべした感じで喉越しの食感は悪くありません。かえしは醤油と出汁のバランスが程よくミックスされ、誰にもうけそうな味です。

天ぷらは、サツマイモ、にんじん、ピーマン、茄子、海老の5品で、しっかり油ぎれしたさくっとした揚げ方はいい感じだと思います。天つゆが別についてきて、これは蕎麦のかえしより甘めになっていました。できれば塩をつけて欲しかった。

昔ながらの街の蕎麦屋としては、十分に及第点の店だと思います。今回は注文しなかった桜海老のかき揚げを食べたくなります。

なお、店主の趣味なのか相撲関連の飾り物がたくさんあって、中には千代の富士(現・九重親方)のサイン色紙、最新の番付表などが目に付きました。おかげで待っている間もいろいろ楽しめました。

もともとは夜も営業していたようですが、「人手不足のため昼間だけ」という張り紙がしてありました。家族営業なのか、継ぐ人がいなければ次第に消えてしまう店なのかな、と思うとちょっと寂しい感じがします。

2025年5月5日月曜日

ラストマイル (2024)

昨年夏の話題作で、脚本・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子の鉄壁コンビによる作品で、特に話題になったのはこのコンビによる大ヒット・ドラマ、「アンナチュラル」と「MIU404」と世界観を共有して、それぞれのキャストも登場しました。

巨大通販サイトを運営するDAILY FASTの西武蔵野ロジスティックセンターに、最大の特売期間であるBLACK FRIDAY前日に新しいセンター長として舟渡エレナ(満島ひかり)が赴任してきます。しかし、着任早々、DAILY FASTからの荷物を開封したとたんに次々と爆発する事件が発生し、死亡する人も出てしまいます。

エレナは、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)に、次から次へ指示を出し、絶対に配送作業を止めないと宣言するのです。エレナの上司、統括部長の五十嵐(ディーン・フジオカ)は、事件により作業効率が落ちていることを問題視して、エレナに圧力をかけてきます。

警察の捜査によって、恨みを持つ者として5年前にチームマネージャーをしていた山崎佑(中村倫也)を容疑者とし、機動捜査隊の志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)がアパートに踏み込みますが山崎はいませんでした。そして、何と5年前から植物状態で入院し続けている山崎を発見します。山崎は、5年前のBLACK FRIDAY前日にロジスティク内で飛び降り自殺をしたのでした。

エレナが発見したDAYLY FASTの偽サイトの線から、警察は爆弾製造したものを見つけ逮捕することができました。犯人は、頼まれて全部で12個の爆弾を製造したと証言します。すべての商品を検品するしかなくなったエレナは、遅れてでも出荷することに執念を燃やします。

梨本は出荷に執着するエレナに疑問を感じ従業員名簿を調べると、山崎佑のデータがエレナによって消去されていること、そして新センター長は本来別の者が来るはずだったことを知ります。梨本は直接エレナに「あなたは誰なんです」と詰め寄るのでした。

「アンナチュラル」のUDIラボは、爆発で亡くなった方の解剖を担当することで登場します。三澄ミコト(石原さとみ)、中堂系(井浦新)羅お馴染みのメンバーが登場し、事件の真相解明に大いに役立ちます。


野木・塚原チームの仕事としては、物流問題、過重労働問題などを盛り込んでいるところはさすがですが、本来、2時間8分の映画で描くには扱っているテーマは深いし、出てくる謎も多いので、せわしない印象はぬぐえません。1時間ドラマで4-~5回くらいはかけてもいい感じなので、ネット配信とかの方が向いている感じです。

せっかく「アンナチュラル」チームと「MIU404」チームが参加していますが、これも話題性優先で、別に彼らである必然が感じられませんでした。もっとも両ドラマのファンにとっては、出てくるだけで嬉しくなってしまうのは、術策にはまってしまったというところ。

逆に言えば、テンポが良く中だるみしないノン・ストップ・サスペンスという褒め方もできます。通販大好きな身としては、自分が買いまくった裏側で起こっていることの一端を垣間見た感じがしました。

2025年5月4日日曜日

390円のカレーライス


昨今は物価高で、何でもかんでもどんどん値段が高くなって、スーパーに行くたびに驚くことも少なくありません。

この前、家で作るカレーも高級料理になったというような話題をテレビでやってました。カレーライスのような、普通に家で作っ食べるようなものが、1食1000円近くかかるようじゃ確かにおちおちと食べていられない。

もしも外食だとしたら、カレーライスは、いいとこ1000円。家で食べるなら数百円というところじゃないと、なかなかお財布が厳しいことになります。

いつも使っているのはフレーク状になったカレールーなんですが、最新の値段は6皿分で約400円でした(実質、4皿分という感じ)。この前まで300円ちょっとだったような気がするんですけど・・・

ジャガイモ、1個90円。玉ねぎ、1個80円でした。ニンジンは大きめが1本180円ですが、使うのは1/2程度。ジャガイモとニンジンは手頃な大きさに乱切り、タマネギはみじん切りにします。今回はポークカレーにしたいと思いますので、100g200円の肩ロース、300gを一口大に切ります。ここまでで4皿分で860円。

まず、タマネギをしっかり炒めて、いわゆる「飴色タマネギ」にします。この後、ルーをけちるので、ここは手を抜いてはいけません。豚肉を煮てあくを取ったら、炒めたタマネギを投入し、ここでニンニクとショウガを大さじ1くらい加えます。これは絶対に必要。

なお、ジャガイモは普通に煮ると煮崩れて量が減ってしまい寂しい感じになるので、煮る前にフライパンで表面がちょっと焦げる程度に炒めておきます。面倒ですけど、こういう手間も安く美味しく食べるための一工夫です。

肉が柔らかくなったら、ジャガイモとニンジンを追加してさらに煮込みます。頃合いを見て、火を止めたらルーを入れるんですが、いつも1袋全部使うところを、けちって2/3程度にします。その代わりと言っては何ですが、普通のS&Bの赤い缶のカレー粉と普通の小麦粉を少々追加します。ルーを減らした分コクが減るので、飴色になったタマネギのコクとニンニク・ショウガが生きてきます。少し弱火で煮込んだら完成。

ニンニク、ショウガはチューブを使いましたが、それぞれ10円として、ルーは250円です。カレー粉は20円、小麦粉は10円くらいというところ。全部足すと1,160円、1皿分は290円でした。御飯は1人前100円とすると、1皿390円になり、まぁこれなら許容範囲と言えそうですね。

2025年5月3日土曜日

憲法記念日


自分が産まれてこのかた、5月3日はずっと憲法記念日です。

昭和の頃に「明治は遠くなりにけり」とよく言われていたのが、そのまま令和の世では「昭和は遠くなりにけり」になりました。

今年は「昭和百年」とか呼ばれているわけで、そりゃ遠くなるわけだと思います。

現行の日本国憲法が公布されたのが1946年11月3日、施行されたのは1947年5月3日で、今年は施行から78周年。現在のほんどの日本人は旧帝国憲法は知らないし、そもそも「戦争を知らないこどもたち」です。

日本国憲法の原文では、最初のページに現天皇の祖父にあたる裕仁天皇の署名があり
、旧帝国時代を明確に否定する一文が掲げられています。

しかし、現行憲法は時代の変化に伴い、現実にそぐわない部分も出てきていることは否定できません。

日本人に染み付いた日本国憲法の精神は否定されるものではないことはもちろんですが、より国民が生活しやすい改良はあってもよいことだと感じます。

2025年5月2日金曜日

500円のかつ丼


蕎麦屋で食べる丼物の代表は? と聞かれたら、まぁ、かつ丼と答える人が一番多いんじゃないでしょうか。

このところの物価高の影響はひしひしと感じるところですが、外食でかつ丼を食べるとなると、最低でも1000円は覚悟しないといけません。でも、食べたい。じゃあ、作りましょうというわけで考えた。

さすがにとんかつを作る手間は面倒なので、これはお総菜を利用することにします。スーパーで売っている、一枚240円の三元豚かつを買ってきました。

もしもとんかつを自分で作るとなると、大変ですし、片付けの手間も考えると意外と割高だろうと思います。

小さめのフライパンにタマネギ1/2個(40円)と水を入れてひにかけます。味付けは、これも時短でよくある濃縮つゆの素を利用します(10円くらい)。

タマネギが煮えてきたら、とんかつをのせて溶いた卵2個(80円)を上からかけて蓋をして数分間待てば完成です。あー、簡単、簡単。

お米の価格は本当に高騰しました。1合分の米で170円ですが、麦を入れて量増しして炊いたので、丼一人前でだいたい100円くらいになるんでしょうか。

というわけで、だいたい500円弱というところで、美味しくいただきました。満足です。


2025年5月1日木曜日

180円の味噌ラーメン


自分で作ればいいんです。

・・・と、簡単に言いましたけど、実際、そんなに難しいことじゃない。

スーパーに行くと、ラーメンの麺 だけがだいたい4玉280円くらいで売っています。隣には各種のスープが1食100~200円でおいてあるので、これを使えば300円れ以下です。

ただし、300円出すなら2食で400円くらいの麺とスープがセットになっているものの方が安い。

そこで、スープを作ります。

味噌大さじ2杯くらいで30円くらい。鶏ガラスープの素を大さじ1杯で10円。鶏ガラは食塩無しのタイプを使います。よく売っているものは、食塩入りが多いので注意してください。

そして、ニンニクとショウガ少々。チューブタイプを使って、これも10円程度。

あとは全部混ぜて、塩で味を調えます。辛味噌が好きなので、豆板醤とラー油を追加しましたが、それも10円程度のものです。

全部でなんと130円くらいです。コクは足りませんが、十分耐えられる味になります。

トッピングで、もやし、豚ひき肉、長ネギを使いましたが、それもせいぜい50円くらいのものなので、目標の200円以下は十分に達成できました。満足、満足。