2007年10月11日木曜日

リウマチ手指変形を治す

関節リウマチでは、いろいろな関節の変形が生じるため、日常生活に大きな支障をきたします。薬を使った治療は、残念ながら現段階では根治することができないため、リウマチの勢いを最小限に抑え、変形を起こさせないようにすることが大きな目的になります。

や足の変形は歩けなくなる不安があるため、手術を行うことが多い場所です。手指の変形は直接的に不便が出るし、また外見的な悩みも伴うため、本来はなんとか治したいという潜在的な希望があるのです。ところが、リウマチ手の手術は意外に行われていません。手の手術は全体のバランスや、複雑な機能を考慮しなければならず、大変に難しいため、あまり医師が勧めないということもありますし、また実際に手術を行う医者も多くはありません。

女子医大リウマチセンターに常勤していた時は、手の外科を中心に、人工肘関節人工足関節などの比較的行われることが少ない手術を中心に、膝と背骨以外はどこでも手術をしていました。今は、開業していますので、手術をするチャンスは大変に限られています。そこで、主に他の先生が行わない手指の変形の矯正手術を行っています。
これは、最近行った患者さんです。左からレントゲン写真、術前の手、そして術後の手の写真です。興味のある方はこちらにぼかさない画像がありますのでご覧ください。レントゲンでは指の付け根の関節が崩れて脱臼しています。そしてリウマチに特徴的な全体が小指側に倒れてしまう尺側偏位と呼ばれる変形になっています。
手術を希望してきた患者さんとはじっくりと話をして、出来ることと出来ないことをはっきりと納得してもらっておくことが大切です。場合によっては、「やってみないとどこまでよくなるかわかりません」ぐらいのことまで話します。

さて、この患者さんの場合、崩れた関節部分で緩んだものを縫い縮め、緊張が強い部分を切り離すような処置を行いますが、骨の処置もしないと、すぐに元に戻ってしまいます。そこで、シリコン製の人工関節を利用して骨の位置関係を保つようにします。

術後の写真ではだいぶ形は治りました。でも、実はここからが一番大変なのです。というのは、この状態では指はつっぱって思ったようには動かせません。外見がよくなっても使えなければ意味がありません。そこで作業療法士に入ってもらってリハビリテーションを行います。手術で縫ったところを緩ませないように、でもしっかりと指が動かせるようにするのは大変です。自分の意図をしっかりとわかってくれている療法士の方がいるから、手術ができるといっても過言ではありません。