2010年1月19日火曜日

床ずれ

褥瘡・・・なんとも難しい漢字です。

「じょくそう」と読みます。いっぱんによく知られている呼び方は「床ずれ」です。

これは普通の健康な方には起こらない病気なのです。どんな方に起こるかというと、主に「寝たきり」の人。

人間の体は血液が流れて栄養を供給しているわけですが、圧迫すると血流が無くなる。ほら、自分の皮膚をどこか強く押してみてください。白くなるでしょう。それは。圧迫で血流が途絶えるから。でも圧迫を離すと、すぐにまた赤味が戻って大丈夫。

ところが数時間圧迫が続いてしまうと、体の組織は壊死を起こし始めるのです。そうなると、もう元には戻りません。寝たきりの人は、ずっと体を寝床に押しつけているわけです。

骨と皮膚の間に皮下組織や筋肉のようなクッションになるものが少ない場所では、血流が無くなることで組織の壊死か起こりやすく、それを「床ずれ」と呼ぶのです。特に起こりやすいのは、お尻の真ん中、かかとなどです。

自分は医者になって5年目に、脊髄損傷専門病院に赴任していました。脊髄損傷の患者さんは麻痺を起こしている場所に知覚がありません。ですから、長時間の圧迫で痛みを感じないために、容易に床ずれを作りやすいのです。

ですから、1年間の間、手術と言えば床ずれ。ひたすら、壊死組織の切除、床ずれをふさぐための手術(皮弁、筋皮弁作成、皮膚移植など)をやっていました。そのころは、整形外科としてはなんともつまらない手術と思っていましたが、後にそれがいろいろなところで役に立ちました。

それはともかく、褥瘡治療に残念ながらBESTはありません。褥瘡をカバーするいろいろな材料がありますし、壊死部の組織を盛り上げるための薬剤も様々のものが使われています。

そのいずれもが決定打にはなりません。もっとも決定打があれば、いろいろなものが使われていませんよね。ですから、結局自分の結論は、褥瘡を治すのは「愛」ということになります。

毎日、褥瘡をきれいに洗浄して細菌の感染を防ぎ、壊死組織を再生させめために刺激することが大切です。愛無くしてはできることではありません。

とにかく病棟業務の中では「褥瘡作るのは恥」とまで言われるくらいのものですから、作らないように最大の注意を払いたい物です。