2010年1月11日月曜日

Alice Sara Ott / Liszt's Etudesd'execution transcendante

ピアノの詩人がショパンなら、フランツ・リストはピアノの演奏技法の限界に挑戦したとも言える作曲家。どうしてもテクニカルな部分に目がいきがちですが、リストの曲にはショパンに負けないくらいロマンチックなものがいろいろあるわけで、どちらかというと、自分はリストの方が好きなんです。

でも、リストの数ある曲の中でも、まさに「超絶技法練習曲集」と題された12曲については、バイオリンを目指す人がパガニーニの24のカプリースを制覇したいと思うのと同じで、ある意味ピアニストにとってのエベレストではないでしょうか。のだめが偉い先生に認めてもらいたくて、思わず弾いてしまい失敗した曲です。

これまでにも名演・迷演が数多くありますが、印象に残っているのはベルマンの演奏。剛力で弾き倒すような凄まじい演奏で、まさにピアノと格闘してねじ伏せたかのような熱演です。

ところが、2008年末になんともあどけない顔をした女の子のアルバムが発売されました。クラシック音楽の世界もアイドル的な存在がいるわけで、これもそういう一人かと思っていたら、いやいや恐れ入りました。なかなかあなどれない演奏で、こりゃ可愛いだけではないぞというところを世界に知らしめたのです。

アリス=紗良・オットは1988年生まれというので、今年22歳。父親はドイツ人で、母親が日本人。道理でちょっと和風の顔だと思いました。5歳から様々なコンクールで優勝しまくって、ドイツ・グラマフォンからいよいよメジャー・デヴューしたのがこのアルバムという強者です。

昨年は第二弾としてショパンのワルツのアルバムを早くも発売し、今年も新年早々にチャイコフスキーとリストの協奏曲を発表しました。そして、2月末の東芝グランドコンサートで来日しそのチャイコフスキーの協奏曲1番を実際に演奏することになっています。

もちろん実際に聴きに行くわけにはいかないのですが、やはり注目の若手ピアニストですから、今後の活躍をふくめて大注目なのでした。