「冷湿布をすればいいのか、それとも温湿布がいいのか」
これも外来をしているとよく聞かれる質問。最近は、テレビのCMでも、有名俳優を使って大手の製薬会社がしきりと湿布の宣伝をよくしています。そういうところでも、中に含まれている薬の有効成分を強調しているのを皆さんもお聞きになると思います。
実際、今時医者が処方する外用薬で冷湿布というものはほとんどない。消炎鎮痛剤が含まれていて、それが皮膚を通して患部に浸透して効果を期待するわけです。
冷湿布と言っている物はメントール成分で、温湿布と言っている物はトウガラシ成分で、それぞれひやっとしたりほかほかしたりするわけで、実際に温度変化をそれほど起こすわけではありません。
まぁ、どっちでもいいと言ってしまうと身も蓋もないのですが、一般には急性の痛みに対しては冷却、慢性の痛みに対しては温熱がいいわけで、その辺で選択してもらえば間違いはありません。
湿布剤というのは、日本では比較的歴史があって、実際によく使用されていますが、国によってはまったく信用されていないところもあるようです。確かに皮膚から吸収できるものというのはたかがしれています。
しかし、確かに効果は認められていて、多くの方がその恩恵にあずかっていることは間違いありません。でも、痛いところをすべて隠すように大量に貼ったりするのは無駄使いです。以前は5日分までしか一度に処方できませんでしたが、今はいくらでも出すこととができるため、よけいに使用量が増えてしまったように思います。
含まれている消炎鎮痛剤の成分に対してアレルギーを起こしたり、喘息発作を誘発したりすることがまれにありますが、薬としての副作用は少ないと言えます。ほとんどの副作用は皮膚のかぶれ。とくに日に当たるとよけいに起こりやすくなったりすることがあります。
かぶれの原因は湿布の基剤に関係しているので、皮膚によくくっついてはがれにくい物ほど起こしやすい。結局、どれを使ってもそうは大差がないので、臭いのする物しない物、厚めの物薄めの物、白い物肌色の物、付きのいい物悪い物などなどなど。貼る場所によって、うまく使い分けたい物です。