コードブルーを見ました。
いろいろ「ありえな~い」とか文句を言いつつも、やはりこういう救急の現場というのは、医者から見てもかっこいい。救急の生活から離れて10年たちましたが、いまだにある種の憧れが無いと言えば嘘になりそうです。
自分が育つた大学病院はかなり広い範囲の救急を担当していたので、次から次へといろいろなけが人が運ばれてきました。骨折が1カ所なんてことはまずなく、3カ所4カ所は当たり前。自分の経験では最大で23カ所の骨折があったというのがあります。
しかも、整形外科単独で診れる患者さんというのもめったにいないわけで、たいてい腹部外傷でお腹の中は血だらけ、頭蓋内にも出血して、腹部外科と脳外科と三つどもえで手術室に運んでいくというようなことが普通のことでした。
当時は、今の救急救命センターというようなもののはしりで、独立したグループが出来はじめた頃でした。ただし、実質的な治療はそれぞれの専門科が中心になって行い、そういう混成チームで協力していく体制が出来はじめた時代です。
ですから、結局そういう関係の深い科の先生とどのくらい仲良しかが大きなポイントでした。やはり、知らない先生とでは話がややっこしい。そういうわけで、前期研修医の時の各科のローテーションが大きな意味があったわけです。
自分は整形外科の他に外科、麻酔科、放射線科などを回った後に最期のローテーションで救命センターにいきました。そして、そのまま整形外科に入局して救命センターに入り浸りになっのですが、それまでに知り合ったいろいろな先生のお陰で随分と助かった物です。
整形外科の分野では直接死に至るようなことは少ないので、治療の順番としてはどうしても優先順位が低くなる。例えば、肝臓破裂で外科が緊急開腹手術をするということで手術室に入るとします。骨折の処置ができるのはお腹の処置が終わってからですから、ひたすら数時間待っていないと行けない。
やっと呼ばれた頃には、麻酔科も疲れていていまから整形外科なんて迷惑そうです。何カ所も折れていると、小さい物はもうかまっていられない。あとでもできそうなことは後回しにして、とりあえず今やっておかないと困りそうなことだけを片付けて、手術室から出ると朝日がまぶしいなんてことは日常茶飯事。
当然、そのまま朝から外来や病棟の仕事に入って、定時の手術もこなさないといけません。それから、救急の患者さんの様子を見に行って、追加の処置を考える。そしてまた夜間帯に・・・
まぁ、さすがにもうそんな生活には戻れませんね。若さと気力が充実してないと無理。たぶん今でもなんとか対応できるかもしれませんが、少なくとも体力はもたないでしょうね。もしもドラマのような若い医者になれるなら、それも医者としては楽しいのかも知れないのです。
それにしても、このドラマ。みんな人生重すぎません?