突き指しちゃったぁ、と軽く考えてそのまま痛くても我慢してほったらかし。こんなことは誰でも経験があることです。もちろん、たいていの場合は打ち身的な痛みとか、軽い捻挫程度で治ってしまうことでしょう。
でも、突き指を放置して、結局指が曲がってしまったという方もけっこういるんです。動きが悪くなったり、力を入れると痛みが残っていたりで、日常生活でも不便を感じることがしばしば。
突き指というのは、いくつかのパターンがあります。軽傷は打撲・捻挫で、これは数日間腫れて痛みますが、無理しなければ1週間程度でおちつくでしょう。
指を横方向へひねったときは、関節を横にぐらつかせないようにしている靱帯を痛めてしまいます。最悪は靱帯断裂。これは手術が必要になることも珍しくはありませんが、たいていは初期にしっかりと数週間の添え木による固定をすれば、たいていは大丈夫。
さて、問題は指を動かす筋肉の紐の部分、つまり腱を痛めた場合と骨折を伴っている場合です。このような場合を槌指(つちゆび、英語だとMallet Finger)と呼びます。指の長軸に強い力がかかって、関節が急激に曲がりすぎたり伸びすぎたりして起こります。
その際に腱が骨についている部分から断裂した物を腱性槌指、腱がついている部分の骨がはがれた物を骨性槌指と言います。いずれの場合も後で動かしたくても、力が伝わらないため動かせず指が曲がったままになってしまいやすい。
骨性槌指はレントゲン検査で診断が突きやすく、骨のずれが少なければ指の固定の位置を調節してなんとかなることが多い。しかし、あまりに距離が開いてしまうと手術で治すことが多くなります。でも、骨と骨はくっつきやすいので、比較的治りは悪くありません。
問題は腱性槌指の場合です。まず、一見レントゲンでは異常が無いため、診断が遅れることがあります。また、腱と骨は容易にはくっつかないので、固定期間が長く、結局手術が必要になることも少なくありません。
手や指の問題は、ちょっとことでもけっこう不便が生じる物ですから、けがを軽く考えずにいてほしい物です。治療は早く始めるにこしたことはなく、数週間たって「まだ痛いんだけど」という場合はもう治せないことだってあるんですよ。