2010年1月20日水曜日

四十肩

自分がクリニックを開いている横浜市都筑区は、住民の平均年齢が低いことでは全国的にトップクラス。

だいたい平均40歳というのは、高齢化社会と言われている今の日本では「異常」事態かもしれません。だからというわけではないでしょうが、どうもやたらと四十肩の患者さんが多いように思います。

四十肩、あるいは五十肩というのは、正確には病名ではありません。これは症状に対する名前なんです。

肩関節の付近の骨、関節、筋肉などに何らかの原因があって炎症を起こして痛みを伴う状態が肩関節周囲炎と呼ばれ、それが四十代から五十代に起こりやすいことから使われるようになりました。

ですから、正確には原因によって病名はいろいろですが、出てくる症状はだいたい同じになります。おそらく原因はそれほど長く続くわけではなく、だいたいは数週間から数ヶ月でおさまっているのではないかと思います。

肩関節を動かすための筋肉は、腕を自由に動かすために多くの負担を受けるのです。少しずつ筋肉は痛んですり減っているのです。そこへ中年になってきて筋力低下が出始めると、いよいよ四十肩の始まりです。

痛みが出ると、痛みのために腕を動かしません。動かさないために、筋肉は萎縮してさらに弱くなり、肩関節は固くなってしまいます。そうなると動かしたくても動かせないわけで、無理に動かすとますます痛みを感じることになります。そして、さらに動かすことをしなくなる・・・

というわけで、どんどん肩周囲の筋肉は弱く固まってしまう悪循環に陥っていくわけです。ですから、治療で最も大切なのはこの悪循環を断ち切って痛みを減らしつつ、しっかりと動かせるようにするためのリハビリテーションをすることなのです。

でも、ここで間違えてはいけないことは、やたらと動かしてはいけないということです。動かせと言ったり、動かすなと言ったり、いったいどっちなんだよ、という患者さんの声が聞こえてきそうです。

これはどういうことかというと、動かし方の問題なのです。固まって縮こまっている筋肉を自ら動かすと、さらに筋肉が収縮するので逆効果なのです。どんどん痛い肩を動かそうとしてはいけないのです。

では、どうするかというと、一番簡単なのは自分は力をできるだけ抜いて、誰かに動かしてもらうことです。筋肉に力を入れずに伸ばすことができれば、効率的に筋肉を柔らかくすることができるのです。

協力してくれる誰かがいればいいのですが、なかなかそうもいかない。自分でする方法は、皆さん病院で説明を聞いてくださいね。ここでは、一言で簡単に説明しておきますが、要するにストレッチをしましょうということなんです。

どうしても力が入ってしまうので、けっこう自主トレは難しい。時間がかかればかかるほど、その間に筋肉は固まってしまうので、できるだけ効率的なリハビリテーションをして治せるうちに一気に治しまょう。