2010年4月6日火曜日

されど整形外科

まぁ、今更、整形外科とはみたいなことを書くのも気が引ける。でも、今でも整形外科って何するのというような質問は、少なくありません。

もともと、医学を細分化する場合に、体のパーツで分けていくことが主流になっていて、頭だったら脳神経外科、顔の部分は機能分化が細かいので、眼科・耳鼻咽喉科・口腔外科・歯科などがある。

心臓を中心とした循環器、肺を中心とした呼吸器。腹部の場合は、ご飯の通り道なら消化器ですが、これは管腔臓器といってます。食堂から胃・十二指腸までは上部消化管、小腸・大腸・肛門は下部消化管。

それに対して実質臓器(中身が詰まっている)の肝臓・膵臓などは別枠になることが多い。下腹部になると女性の卵巣・子宮は婦人科になり、男性の生殖器と腎臓から膀胱は泌尿器科。

それで、残った物のうち表面を担当するのが皮膚科または形成外科、それ以外が整形外科となるわけです。
実際は、背骨関係と手足の問題ということになるわけです。

年代で考えると、小児期に特有の問題を扱うのが小児科、成人に関するもの全てを扱うのが内科という分け方もあるわけです。実際は、整形外科的な物はこどもでも大人でも、整形外科にくるのが普通なので、整形外科の患者さんは赤ちゃんから高齢者まで、全年齢層にわたっています。

もうひとつ、病気の種類によって医学を分類していくやり方もあります。感染症、炎症、腫瘍、代謝性疾患などなどあるわけですが、整形外科はこれまた何でもありなのです。もちろん、いわゆる外傷(骨折・脱臼・捻挫・打撲・切り傷など)が中心であることは間違いないのですが、そのほかの病気もいろいろあって、炎症性疾患の代表は関節リウマチということになりましょうか。

ですから、自慢するわけではないのですが、専門科の中では守備範囲がかなり広い方の科ということがいえます。当然、全部こなすということは大変難しい。ですから主として手足を中心にする関節外科と背骨を中心にする脊椎外科に分かれていて、けっこう治療に対する考え方も違っていたりする。関節外科は、手の外科(肘から指)、肩関節外科、股関節外科、膝関節外科、足の外科(足首から指まで)にわかけていたりする。

外傷を中心にする場合もありますが、特にスポーツ関連に特化した専門家もいます。またリウマチのような病気を中心にすることもあれば、老化による問題を専門にすることもある。

こんなことを書いていると、もうきりがなくて、一般の方にはなんのこっちゃという感じでしょうね。まあ、とにかく、すべての医学を網羅することはとうてい不可能ですが、そういう細かいことまでも要求される時代になってしまったので、医者としても悩みが深くなってしまいました。

とりあえず、美容整形は整形外科のジャンルではないということだけは、皆さんよくご承知おきください。