阪神タイガースの金本選手が、1998年から続けていた連続試合フル出場記録が昨日ついに途絶えました。自分は阪神のファンではないし、それ自体は特に残念とか思うわけではないのですが、金本選手には素直に拍手を送ることはやぶさかではありません。
ちよっと前にテレビで張本さんが「これだけ超雌が悪くて、連続記録のためだけに出ているとしたらやめてもらいたい」という主旨の発言をしていました。確かに今シーズン、通常ならレギュラーで出ていられるような状態ではなかったようです。
張本さんくらいの人なら、確かにこの発言は許されます。しかし、たぶん一般の阪神ファンからすれば、成績よりも金本の「アニキ」がいることが重要なのだろうと思います。ですから、試合で先発メンバーの発表に金本の名前が無かったときの状況は想像に難くありません。
当然、試合前にも監督やコーチらを交えて、いろいろ話し合いがあったのでしょうし、いまさら監督から欠場を言い渡すこともないでしょう。先発からはずれたのは金本自らの進言であろうと思います。ですから、拍手を送りたい。
もうあとわずかで1500試合というところまできていたわけですから、いくら成績がふるわないとしても断腸の思いであったに違いありません。しかし、チームとして戦う野球というスポーツであるからには、それもやむを得ない決断でしょう。来週は張本さんも、そういう金本に「天晴れ」を出すことと思います。
整形外科の患者さんにはスポーツによるケガの方も多いわけですが、いつも話しているのは「ケガをちゃんと直せない選手は良い成績は残せない」ということです。ケガをした状態で無理しても、ケガを長引かせるだけですし、場合によってはずっと後遺症をひきずることになります。そんな状態でがんばって出場しても、たいした成績が出るはずがありません。
もうこれが最後の試合で、これだけ出れれば後はいいというくらいの覚悟があるのならしょうがありません。その場合は、医者としても何とかできるように応援したいと思いますが、たいていの患者さんはまだこどもで、まだまだいくらでもチャンスがあることを考えてもらいたいと思います。
最も尊敬できるスポーツ選手は、ケガがなく優秀な成績を出す人。その次に立派なのは、ケガをしたときにしっかり休んで治して再び活躍できる人ではないでしょうか。
無理して出場して褒められることよりも、休むことの勇気の方が大きな意味があると思いますよ。ですから、低迷したまま1500試合を迎えるよりも、今欠場を決断したことで金本は本当に「アニキ」であることを証明したなと思うわけです。