自分が東海大学医学部に「いっぱい」浪人して入学できたのは昭和55年のこと。この年の3月に山口百恵が引退、秋には三浦友和と結婚というのが、自分の知っているこの年、つまり1980年の最大のニュースだったのです。
今日はテレビを見ていて、早稲田大学商学部の入学試験漏洩事件の話を取り上げていましたが、実は今日テレビで見るまで、まったく知りませんでした。この事件が起きたのは、まさに昭和55年。自分の大学受験真っ只中の出来事だったんですね。
浪人して、もう後が無いと一杯一杯だった自分としては、周りのことにはとても気が回っていなかったんだろうと思いますが、同じ受験の時代にこういう事件があったことを知らなかったことが情けない。
確かに、当時は「裏口入学」という言葉がよく聞かれましたが、これは知り合いの職権を持った大学の職員にお金をこっそり渡して、合格を頼むというものでした。これは少なくともシステムとして行われるものではなく、両者の個人的な関係だけの話だと思います。
早稲田の事件は、何年間かに渡って大学職員が受験生の答案用紙を合格できるレベルのものと差し替える、そして最後には試験問題を盗み出して渡すという、営利を目的とした「合格請負システム」であるという点が驚きです。
公正であることが大前提にある入学試験の信用が、完全に地に堕ちるような事件です。しかし、今自分が受験生の親という立場を経験してみると、何とかこどもが希望する大学に入学してもらいたいという親の切実な気持ちと言うのが、根底にあるという事実は真似はできませんが理解できるところがあります。
でも、その時の早稲田に入学した学生たちは疑心暗鬼で、きっと同級生同士で「あいつは不正に入ったんじゃないか」というような気持ちを持ってキャンパスをすごしていたのではないでしょうか。
どんな大学でも、ちゃんと合格して胸を張って通学することが、最後には一番いいことなんだと言えるような社会であって欲しいと思います。現実には、こういう事件の反省が本当にいかされているのかどうか・・・