いゃ~、ずいぶんと昔の話ですけど、中学・高校の頃、夏休みとかに課題図書というのがありまして、読みたくも無いのにしかたがなく・・・いえいえ、楽しく読書をしたものです。
武者小路実篤 「友情」
夏目漱石 「こころ」
伊藤左千夫 「野菊の墓」
小林多喜二 「蟹工船」
井伏鱒二 「黒い雨」
芥川龍之介 「河童」
原民喜 「夏の花」
う~ん、他にもあったように思いますが、とりあえずこのくらいはすらすらと思い出せます。実際、当時自分がすすんで読んでいたのは、星新一のショートショート、北杜夫のドクトルまんぼうシリーズ、遠藤周作の弧裡庵先生もの。
そうでなければ、あとは推理小説。横溝正史、江戸川乱歩はおそらくほぼ完全制覇(一部少年物を除く)しました。
落語の本もずいぶんと読みましたよ。六代目三遊亭円生、五代目柳家小さん、五代目金原亭馬生などの全集を読んでいました。極め付きは明治・大正落語全集、全8巻をそろえたことかもしれません。
今みたいに、ネットもないし、カルチャーな話と言うのは本を読むか、ラジオの深夜放送を聞くかするしかなかったですからね。本を読むということは、勉強でしかたがなくという部分もありましたけど、必要だった部分もあるわけです。
それにしても、今でも夏目漱石の「こころ」を読ませて、現代国語の勉強をするというのはいかがな物なんでしょうか。夏目漱石くらい読まずして、語る無かれ的なところは認めますが、少なくとも現代国語とはいえないでしょう。
主人公の「先生」の年齢探しをしたり、まあそれはそれでいいんですけど、少なくとも高校生がこれをきっかけに本を読むことに興味を持つようにはならないでしょう。ただでさえ「活字ばなれ」と言われている時代ですから、例えば村上春樹の「ノルウェイの森」とか、思い切りキャッチャーな斉藤智の「KAGEROU」とか、考えてもいいんじゃないかと思います。
それにしてもこの夏目漱石の写真・・・う~ん、どこかで最近よく見ている気がしていたんですけど・・・わかりました!!
なんと、グレン・グールドのゴールドベルグ変奏曲のジャケット写真ですよ。グールドは夏目漱石の「草枕」を愛読していたのは有名な話で、なるほどきっとこの写真を撮るときには意識していたに違いない。うん、絶対そうです。