2013年7月10日水曜日

J.Du Pre Complete EMI Recordings

今時のチェロという楽器が主役として活躍する場は、バロックからロマン派までが中心なんでしょうか。基本的に、低音域を受け持ち音楽の安定感を増やす仕事をしているので、脇役的な必要性はどの時代でも重視されています。

ですから、ピアノやヴァイオリンに比べると、チェロがメインの有名な曲というのは限られてしまうので、 最低限のおさえておきたい収集は比較的簡単にできてしまうかもしれません。

まず、曲の形式で考えると独奏、ソナタ、協奏曲の3種類。室内楽で一般的な、弦楽四重奏、ピアノ三重奏などではチェロが中心というものはほとんど無い。あとは、チェロだけの特徴として、人の声の音域と似ていることから、声楽曲をチェロで演奏するというのはよくあって、これもなかなか捨てがたい。

そこで、大胆に名曲をセレクトしてみます。独奏はJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲に尽きる。これは、チェロ奏者にとって、極めるべき最高峰と言える。ソナタは、J.S.バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、ショパン、フランク(ヴァイオリンからの編曲版)、協奏曲は、ドヴォルザーク、シューマン、エルガー、サンサーンス、ショスタコーヴィッチ、ラロなどということでいかがでしょぅか。

録音が残っている以降で著名なチェロ奏者というと、カザルス、フルニエ、ビルスマ、ロストロポーヴィチ、デュブレ、ヨーヨー・マ、マイスキーあたりが選出できるんでしょぅか。ここまでは、たいてい発売された音源が集大成された10数枚組のボックスセットが、5000~10000円くらいで売られているので、比較的簡単に揃ってしまいます。

あえて、その中から一つだけということになるとかなり選ぶのは難しい。有名曲をほぼ網羅していて、録音の良いものを基準に考えると、ジャクリーヌ・デュプレのボックスを推薦したい。

デュプレは、バレンボイムと結婚して、多発性硬化症のために若くして亡くなりました。女性としての繊細な情感と男性ばりの力強さを併せ持った、驚異的な演奏を主役としても脇役としても残しています。

ただ残念ながらバッハの無伴奏だけがないことが悔やまれる。最初に録音したカザルスというのが一般的に名演とされていますが、より攻撃的な音楽としての独自性が出ているマイスキーもお勧めかもしれませんね。