2013年10月5日土曜日

リウマチじゃない

・・・と、患者さんに言うのは、けっこう勇気がいるもんです。

患者さんは、指などが痛くなってリウマチを心配し病院を訪れる。いろいろ検査などをしても、実はこれがあれば関節リウマチだと確定する項目が無いのです。

ですから、あなたはリウマチですよと言うのも難しいのですが、逆にリウマチではないと言うのもなかなか断言はできないものです。

来院された方は、病気があると言われるのは辛いことですが、意外と病気が無いと言われても不安ばかりがつのるようです。

ですから、ただリウマチではないとだけ説明しても、なかなか納得できずに、場合によっては別の病院への受診を繰り返したりするわけです。

これは、医者としては「力不足」を露呈しているわけで、患者さんを安心させられないのでは、まだまだ修行が足りないと言われても反論できません。

そこで、大事になってくるのは、リウマチではないなら何かということをお話しすることです。実際、リウマチを心配して来院される方のうち大多数はリウマチとは言えません。

比較的、若い方は腱鞘炎や単なる使い過ぎのストレスによる痛みと腫れだったりすることがあり、中高年になると圧倒的に多いのが関節の加齢性変化によるものです。

老化と言われると、別の意味で悲しいかもしれませんが、一番端の関節の痛みや、ごつごつした変形は、ほぼ間違いなく加齢性の変形性関節症です。

リウマチには国際的に使われている分類基準と呼ばれているものがあって、こういう診断のためのツールがあることは重要です。これがあれば決定というような検査があれば、基準を設ける必要はありません。

もちろんこの基準を満たしてもリウマチとは到底思えない場合や、逆に満たさないけどリウマチとしか考えようがないこともあります。

しかし、この基準に当てはめてみることで、患者さんに納得してもらう根拠として利用できますし、また他のリウマチ医との間で診断の尺度をある程度は統一化することができるのです。

とにかく、個体差を扱う医学では100%というものはありません。いつでもグレーな部分が大なり小なり付きまといます。病気がある人にも、無い人にも、安心をお届けすることが医者として重要ですし、最も難しいところなのだと思います。