例によって原作はマンガ。マンガが低品質とは言いませんが、すでに絵がありイメージができているために、映画化するにあたっては最初から大きな制約を受ける。
この映画の原作も、読んでいません。読んでいませんが、あちこちに出てくる原作の絵を目にすることがありますから、登場人物についてはかなり原作に忠実に外見を作っているのはわかる。
ただ、映画しか見ていない者としては、なんでそういう奇抜とはいわないまでも、やや変わった容姿の理由がわからない。
実際の映画のストーリーとしては、宇宙飛行士になった弟に劣等感を抱く兄が、一緒に宇宙に行くという弟との約束を実現するため、宇宙飛行士の採用試験を受けるところが中心。
しかし、その時に宇宙に飛び立った弟のエピソードが、ところどころに出てくるのですが、はっきり言って不要なくらい多い。本筋に集中するだけで、十分に映画として成り立つ話ですが、嘘っぽいSF作りで興味がそがれてしまいます。
閉鎖空間でドジ込められて、いろいろな課題をこなす試験という話だけでも、いろいろな人間性を描き出すテーマとして濃い内容になれます。時間の制約で、最後にセリフで一気に仕上げてしまったのは残念。
また試験の内容も、セリフでも絵的にも説明がほとんどなく、起承転結の転となる一番重要なところが理解しにくい。主人公に、なぜそんなことをさせるのか。マクガフィンさ・・・とヒッチコックならサラリと言うかもしれませんが・・・
脇道の弟の月での遭難のエピソードも、最後はあまりにあっけない。同時進行させてきたからには、これはないだろうという安易すぎる結末でする。そのあとは、もっと安易にいきなり兄弟そろって宇宙に旅立つところで終わるというのは、あまりにいい加減なつくりで腹が立つ。
原作はあくまで原案にとどめ、コンプレックスを持つ兄と、宇宙飛行士に募集してきたそのほかの一癖ある受験者の話だけに絞れば、だいぶ違ったものだったでしょう。いろいろな試験をこなして、主人公が合格して夢の実現の第一歩に立ったところで終わりにしても、十分な映画だったと思います。
というわけで、スタッフやキャストに言及する気持ちになれないほど ・・・いやぁ、残念。
☆★★★★