今夜は、自分が世話人をしている関節リウマチの講演会でした。
第1回が2010年で、ほぼ3年前。年に3回のペースでやってきて、もともとは小さい勉強会でしたが、
だいぶ関節リウマチの研究会としては地域に定着した来たのではないかと思っています。
21世紀になってからの関節リウマチの診断・治療の日進月歩は、驚異的な速さです。こういう会が盛んに行われるのも、知識を絶えずアップデートし、いろいろな連携をとるのに重要であるからで、自分たちの会の必要性もますます強まっているのです。
今回は、会の顧問もお願いしている聖マリアンナ医科大学教授、山田秀裕先生による「ステロイドのまとめ」についてでした。
ステロイド薬は、傷みを取る事においては大変効果的な薬剤で、また免疫抑制効果から時にはリウマチを含む膠原病全般でも強力な治療薬剤として使用されてきました。
しかし、もともと体中で多岐に渡る仕事をしているホルモンであるために、薬剤として使用すると全身にさまざまな副作用を起こす事でも知られており、使い方を誤ると副作用のために少量のステロイドに対して膨大な追加薬剤を必要としてしまいます。
山田先生の話も、そこからスタート。歴史的には1936年にステロイドの抽出に成功し、1948年にリウマチに「特効薬」として使用したのがはじまり。これらの業績は1950年に、早くもノーベル賞を受賞することになったことはよく知られた事実です。
しかし、その時点でステロイドによる治療の道を開いた開拓者自ら、「ステロイドを使ってはいけない」という発言があったということは重要なことでした。
しかし、現実には他に変わる治療法方がなかなか無かったこともあって、何とかステロイドをうまく使いこなすことが医者には求められてきたのです。
関節リウマチについては、21世紀になって効果的な薬剤が次から次へと登場してきたことをうけて、不治の病から治る病へと変貌しつつあります。
そういう時代になっても、新しい薬剤は副作用の心配から、どうしても敬遠する・・・特に高齢者などではステロイドに頼りがち。実際、リウマチ薬の副作用による死亡例は、圧倒的に高齢者に多いことは事実です。
山田先生は、それらの薬剤と比べてステロイドに副作用のリスクが低いわけではないことを中心に話されました。時には、リウマチ薬より多くのリスクを抱えているデータを示していただき、今のリウマチ学の中でのステロイドの位置づけを再認識させられました。
リウマチという病気では、一番古い薬ですが、今でも時代にあったうまい使いこなしを求められる重要な薬剤について、大変勉強になった話しだったと思います。