クラシック音楽をせっせと聴くものの、どうしても歌物が苦手という自分としては、こういうアルバムは大歓迎なのです。
シューマンは、とにかくクラシック音楽界では、最もフェミニストで、奥さんが大好きで大好きでしょうがないロマンチストではないかと思います。そういう意味でも、作曲した音楽もまさにロマン派と胸を張って威張れるものばかり。
それほど多くはないものの(シューベルトに比べればと話ですが)、当然歌曲もいろいろあったりするわけですが、その中で特に有名なのが「詩人の恋」と呼ばれる連作歌曲集。
これはハインリヒ・ハイネの詩集「歌の本」からの20篇をもとに、シューマンが曲をつけたもの。当然、さすがに伴奏のピアノも単なる伴奏に終わらず、ピアノ曲として成り立つのではないかと言うほど素晴らしい。
このアルバムは、歌をヤン・フォーグラーのチェロが奏でるというもの。チェロと人の声は音域が比較的似ているので、そのまま入れ替わっても無理がなく、楽曲としてもチェロ・ソナタではないかと思うことも多い。
しかも、ピアノがエレーヌ・グリモー(美人!!)とくれば、もう言うことなし。グリモーはデヴューの頃から、シューマンは積極的に取り上げていました。ここでもチェロと絡み合って、雰囲気を盛り上げてくれています。
繰り返しますが、歌曲が苦手な者にとっては、絶好のアルバムです。