2014年10月23日木曜日

消えた患者さん

患者さんの中には、なかなか良くならないので、医者を変える方がいます。どんどん医者を変えてしまうのをドクター・ショッピングとか、ジプシー・ペイシェントと呼ぶ事があります。

この場合、患者さん側に問題がある場合と、医者側に問題がある場合がある。患者さんは、自分の病気をよく理解していなくて、とにかく早くに満足を得られないことを不満に感じている。医者側は、すぐによくならないことを納得してもらう努力が足りない。

また、医者の技量の問題もあります。すべての医学にパーフェクトではありえないので、当然、医師といえど得意不得意はあるものです。医師自ら、自分の知っている事、できる事の限界を認識している事は重要だと思います。

ですから、いつのまにか来なくなる患者さんがいると、いつでも自分に対して不満があったのか、自分の力が不足していたのか、あるいは単に引越しただけなのかとか考えたりするわけです。

特に関節リウマチという病気では、患者さんとは長い付き合いになるので、まずキャラクター的に合う合わないというのは重要なポイントかもしれません。

さすがに、医者も人ですから、仕事がら患者さんに合わせる努力はしますが、時にはこういう患者さんとはなかなか話ができないと思う事があります。

それは、たいてい初診のときにだいたいわかることですから、何度か再診してもらうと、あとはお互いにペースがわかってくる。

患者さんが医者を変えたいと思うとき、医者に黙って来なくなる場合は、もうこれはしょうがない。去る者は追わずですが、やはりできる事なら理由は知りたいものです。何が不満だったのかがわかれば、直せるところは修正したい。

はっきりと転医したいと申し出て来る場合もよくあるんですが、その場合は次の医者へちゃんとつながるように紹介状を用意する事は医者としてできる最後の仕事。

転医希望の理由をはっきり言ってくれると、例えそれがこちらへの不満であっても助かります。セカンド・オピニオン目的の場合は、積極的に紹介します。他の医者の意見も聞いてみることは、いろいろな意味で大切な事です。


まぁ、いずれにしても、自分がスタンダードからはずれていない自信を持てるように日頃から努力している前提で、スタンダード以上を求められれば患者さんが去っていくのは止めようがない。

とにかく、患者さんが来なくなった事がわかったときには、自分の再点検のいい機会だと思うようにしたいと思います。