レストランの入り口にあるロウで作られた「見本(食品サンプル)」は、日本独特の文化だそうですが、中には本当によくできていて驚くことがあります。ただし、これは実際に口にすることはできません。
食品で堂々と売られている偽物と、記憶にある最初に登場したものは「蟹かまぼこ」ですが、最初に口にしたときは確かに「蟹っぽい」味に感心したものです。
でも、よく考えてみると、例えば「ちくわぶ」だって、ちくわもどきの小麦粉のかたまり。マーガリンも、元々は「人造バター」と呼ばれていたバターの代用品としてスタートしています。
発泡酒や第三のビールなども、ビールの味に似せて、より価格の安いものとして登場しているわけですから、世の中にはすでに市民権を得た「もどき食品(コピー食品)」は山ほどあるわけです。
基本的に、本来の食品を手軽に楽しめれば済むことですが、高価で手を出しにくいもの、希少価値があって手に入りにくい物などで、庶民が雰囲気だけでも楽しみたいというところがスタート。
最近は、洒落の感覚も含めて、このようなコピーはいろいろと登場していますが、作る側も本当に頑張っていて、外見、味、食感のいずれも本物に近いものがよくあります。
今回、本当に感心したのが「鰻の蒲焼」のコピー食品。見た目は本物より多少滑らかな感じですが60点の合格ライン。ひっくり返すと、青黒い皮の感じまで再現されていて、一部皮が剥がれているところもかなり本物に近い感じ。
味はほぼ満点。蒲焼はたれの味が強くなるので、真似やすいのかと思います。原材料を見ると、魚肉、大豆たんぱく、うなぎエキスなどで、肴のすり身を使用した「魚肉ねり製品」と表示され、表にははっきりと「本品はうなぎではありません」と書いてあります。
食感も60点です。かまぼことは違って、練りすぎず、多少のぼそぼそ感がうまく残っているところが鰻っぽい感じ。本物から小骨を全て取り除けば、ちょうどこんな感じなのかもしれません。
総合的に、鰻もどきとしては合格点。鰻もなかなか手を出しにくくなりましたから、こういうのもありと思います。