おそらく、一番有名なのが1952年のDecca盤。モノラルですが、音質は上々で、ウィーンフィルの伴奏を超える演奏の出来が素晴らしいように思います。
名盤とされる理由のもう一つは、キャスリーン・フェリアの歌唱によるところもあります。フェリアはこの録音の翌年に乳がんのために41才で亡くなっています。ただし、癖のある声質、歌い方なので好みは分かれるところかもしれません。
このレコードにケチをつけるとするなら、惜しむらくはテノールのパツァークがいまいちということ。二人の独唱者のうちテノールは固定で、もう一人はアルトまたはバリトンです。テノールのほうが歌唱時間は少ないのですが、必ず登場するので、テノールがしまらないと残念感が漂ってしまいます。
「大地の歌」の歌詞の内容については、当然、あらかた語られた話ですから、ここで詳細にコピペしても仕方がないので、簡単にしまする。中国の漢詩(主として李白)の意味を「こんな感じかな」というくらいに英語に翻訳したハンス・ベートゲの「中国の笛」がベースで、それをマーラーが曲に合うように適当に省略したりくっつけたりして改変したもので、各楽章の副題だけあげておきます。
第1楽章 大地の哀愁に寄せる酒の歌
第2楽章 秋に寂しき者
第3楽章 青春について
第4楽章 美について
第5楽章 春に酔える者
第6楽章 告別
全体的に生と死、友との別れなどがテーマになっているわけですが、特に注目するのが最後の最後、「大地に春が来て、花が咲き樹々は緑になる、永遠に 永遠に……」というところ。この「永遠に」のフレーズが、そのまま交響曲第9番の冒頭のフレーズにつながっていくということは押さえておきたいポイントです。