2020年1月5日日曜日

Georg Solti CSO / Mahler Symphony #7 (1971)

アバドやレヴァインが客演してシカゴ交響楽団を鳴らしてマーラー録音をしていた時期、オケのボスだったのはサー・ゲオルク・ショルティです。

ショルティはカラヤン、バーンスタインらと同世代で、1969年に音楽監督にシカゴ響の音楽監督に就任し、70年代から80年代に黄金期を築き、今日までのオケの名声と商業的成功の基盤を作った功労者です。

ショルティの音作りは「シカゴ・サウンド」と呼ばれる特徴的な物で、楽器、特に金管楽器をよく鳴らすメリハリのあるもの。しばしば「健康優良児のような」と形容されます。慣例的に変えられている部分も楽譜通りに演奏するため、正確であることを「ショルティのようだ」と言われることがありました。

そんなショルティですから、当然強く楽譜指示を求め金管楽器の活躍の場も多いマーラーとの相性が悪いはずがなく、音楽監督就任後すぐの1970年の第5、6番を皮切りに十数年かけて交響曲全集を完成させ、現代のマーラー振りのパイオニアの一人に数えられます。

第7番は曲想として必ずしもシカゴ向けとは云い難いところはありますが、第5楽章のにぎやかはまさにシカゴ向けで、オケを鳴らすことにかけては第一人者のショルティの面目躍如の演奏。

アバドの場合は、楽譜を尊重しつつも、その行間を読み、書かれていない作曲者の音符を具体化させることで優美な音楽作りをする感じ。ショルティの書かれている音符通りにびしっとまとめあげるショルティとは、同じオケでも違った印象の音楽が出来上がるというのは大変面白い所です。