2023年3月5日日曜日

Musica Amphion / Corelli Complete Edition (2004)

17世紀前半をイタリア・バロック音楽の前期とするなら、17世紀後半が中期となり、その時代を代表する作曲家としてあげられるのはアルカンジェロ・コレッリです。

1653年にイタリア北部で生まれ、13歳でボローニャに出て音楽家としての下地を作りました。ヴァイオリン奏者として実力がつくと、19歳でパリ、22歳でローマ、28歳でドイツ・バイエルンと各地を転々として、ヨーロッパにおいて名が知られるようになりました。

1681年に最初の作品を出版し、器楽曲作曲家としても名声を得ます。32歳からはローマで、後に教皇となる枢機卿の庇護を受け悠々自適の生活を送り、1713年に59歳で亡くなりました。

出版されたのは、すべて複数楽章の12曲からなるトリオ・ソナタ作品1から4まででと、同様形式のヴァイオリン・ソナタ作品5、合奏協奏曲作品6と、死後に見つかった数曲だけしかありません。

多くの作品は作曲者自身によって破棄されたと考えられていますが、バロック前期のよりもメロディを強く意識した曲作りであり、この後に活躍する音楽家に多大な影響を与えました。コレッリは、ヴァイオリンの曲芸的な演奏は否定的だったようで、そういう意味でも当時のヴァイオリン教育の場て大いに使われたことも関係しています。

特に有名なのはトリオ・ソナタ作品5と合奏協奏曲作品6の2つですが、CDを探すとほとんどこれだけになってしまいます。全部まとめてもCD10枚程度なので、ここは廉価版レーベルで有名なBrilliantレーベルの全曲集ボックスがお勧めです。

廉価版と言っても、素人同然の知られていない演奏者が出てくるわけではなく、ちゃんとした他のレコード会社の演奏をライセンスを受けているものなので心配ありません。

ただし、ここでは、オランダの古楽鍵盤奏者として有名なピーター=ヤン・ベルダーが率いるムジカ・アンフィオンがこのCD全集のために演奏しており、中心となるヴァイオリン独奏はレミー・ボーデと山縣さゆりで、チェロにはヤープ・テル・リンデンが名を連ねています。