夏季臨時休診のお知らせ

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2023年3月14日火曜日

L'arte Dell'arco / Tartini Complete Violin Concertos (1996-2009)

西洋音楽の形成に大きな役割を果たしたのは、ローマ・カトリック教会の影響であったことは疑いの余地がありません。キリスト教の教義をわかりやすく伝える手段として、音楽の普及・発展は欠かせない重要事項でした。ですから、16世紀までは、その中心的な地域は間違いなくカトリックの本山であるイタリアでした。


そして、ヨーロッパに多数存在した王国における、ある意味貴族の娯楽としての需要も、音楽の発達に大きく関与しました。周辺のドイツ、フランスの諸国の宮殿は、音楽後進国としてイタリアに人を送ったり、またイタリアの音楽家を招聘して、自らの貴族趣味を充実させていたのです。

17世紀初頭に歌劇を通して、民衆にも娯楽としての音楽が広がりました。教会の中や宮殿の一室が演奏会場であった頃より、より大きな会場と大きな音量が必要となり、楽団の人数も増員していくことになります。

室内楽でよかった頃は、独奏者と伴奏者だけの二人から三人程度の組み合わせによるソナタ、あるいはトリオ・ソナタが音楽の中心でしたが、伴奏が増えるにしたがって合奏が強化され協奏曲と呼ばれる形式が登場します。イタリアでは、弦楽器が特に発達したため、中心となる楽器はヴァイオリンで、しだいに人々を驚かせるような技巧を盛り込んだ楽曲が主流になったようです。

ドイツでは、マルチン・ルターの宗教改革によるプロテスタントが主流で、ルター以来聖歌を重視した結果、各教会にはオルガンが標準的に配備されることになります。音楽の伴奏には鍵盤楽器が多く使われるようになり、ピアノの発展・普及につながります。

では、フランスはというと、一番の立役者は「太陽王」、ヴェルサイユ宮殿を作ったルイ14世で(フランス革命により処刑された16世のおじいちゃん)、宮殿を文化発信基地として、芸術家を囲い込みました。「語り」と「踊り」というフランス独自の芸術表現を取り込んで、音楽そのものの技術よりも、人に伝わるイメージが重視されたところが、独特の雰囲気につながっているようです。

にわか勉強では、このくらいしか理解できませんが、あえて簡単に考えると、「陽気なイタリア、生真面目なドイツ、そして深遠なフランス」という具合に、同じバロック音楽と呼んでも地域によって大きく異なる展開をしました。

でもって、どれもそれなりに魅力があるわけですが、目下のところ一番興味を持って深堀しているのがイタリア・バロック音楽です。いろいろ探していて気がついてのは、イタリアの作曲家の名前がほぼイ行(i)で終わっているのが面白い。

モンテヴェルディ、ナルディーニ、タルティーニ、ロカッテリ、ロリ、ガッティ、ボッゲリーニ、アルビノーニ、ヴィバルディ、ヴィオッティ・・・まぁ、どうでもいいんですけど、日本で言えば苗字に使われる「木」とか「川」とか「藤」みたいなものなんでしょうか。

「悪魔のトリル」と呼ばれる有名なヴァイオリン・ソナタを作曲したジョゼッペ・タルティーニ(1692-1770)は、ヴィバルディと同世代で、ソナタもたくさん作曲しましたが、協奏曲も山ほど作りました。

自国の偉大なレガシーを系統的に発掘・記録する丁寧な仕事で、とても頼りになるDynamicレーベルからなんとCD29枚組という特大ボックスでの全集が出ています。むむむ、三楽章形式のヴァイオリン協奏曲が125曲という、ヴィヴァルディにも及びませんが相当力の入った仕事です。

演奏はL'arte Dell'arcoという古楽集団。探すと結構いろいろな演奏のCDを残していて、それなりに有名です。リーダーはヴァイオリンのGuglielmo親子で、その演奏は定評があります。この全集は10年以上かけて完成させたものですが、一貫して統一された雰囲気を持続させた労作です。

聞く方も、全部真面目に耳を傾けていたら疲れてしまいますので、行き帰りの車で少しずつ聞いていますが、毎日一瞬「おっ!」と思わせるところが出てくるから厄介です。

ヴィヴァルディと比べるのがわかりやすいと思いますが、思いっきり明るいヴィヴァルディに対してタルティーニは陰陽があります。また、旋律重視のところと、技巧重視のところが混在していて、全体にメリハリがあるように思います。

それにしても、もう2週間くらい、ずっとタルティーニを聞いていますが、まだ半分も終わってない・・・・