2024年2月6日火曜日

PHEVへの道 30 クラウン・スポーツの通信簿


トヨタ・ブランドとしては、一番古いPHEVはプリウス。そして、RAV4、ハリアーが加わり、最新は2023年12月に発売されたクラウン・スポーツRSです。まだ納車された方はいないと思うので、街中で見かけたら、それはHEVです。

クラウン・スポーツは、大々的に刷新された16代目のクラウン・シリーズとしては異色のSUVハッチバックです。10月に発売されたグレードZはHEVでしたが、RSはより走りの機能を高めるためにモーターが強力になり馬力も大幅にアップしています。ただし、巷で物議をかもしているのは、Zが590万円という価格なのに対して、RSが765万円と大幅な上昇になったこと。

そこで、価格差を含めてHEVのZとPHEVのRSを比較してみます。

外見は基本的に同じ。車体の見た目で違うのは、PHEVは後ろに充電ポートの蓋があることと、リアのバッジがPHEVになっていることくらいです。大きさは全長・全幅が4720・1880mmで同じ。全高だけはHEVが1565mmで、PHEVは1570mmです(差のワケは不明)。車体重量はHEVが1810kg、PHEVが2030kgとなります。

前輪駆動(FF)のエンジンはどちらも同じ2.5Lの直列四気筒ですが、多少チューニングが変えてあって、最高出力と最大トルクは、HEVは137kW(6000rpm)と221Nm(3600~5200rpm)、PHEVは130kW(6000rpm)と219Nm(3600rpm)で少しだけ抑え気味。タンク容量はどちらも55Lで同じ。

モーターは前輪と後輪用に別々の搭載で、電気的四輪駆動(E-Four)ですが、ここに大きな差がつけられています。フロントモーターの最高出力と最大トルクは、HEVは88kW・202Nmなのに対して、PHEVは134kW・270Nmと強力。リアモーターはどちらも40kW・121Nmで同じです。電池容量は、HEVがニッケル水素電池で1.2kWh、PHEVがリチウムイオン電池で18.1kWhです。

その結果、システムとしての総合出力は、HEVが172kWで234PS(馬力)、PHEVは225kWの306PSを実現しています。HEVのWLTC燃費は21.3km/Lで最大走行距離は1171.5km、PHEVはWLTC燃費は20.3km/L、電費165Wh/km(充電電池使用時走行距離90km)で最大走行距離は1206.5kmです。

走るという基本性能については、フロントモーターと電池の違いだけなのですが、モーターや電池の価格が一般には公開されていないので、ここからの価格差はわかりません。ただ、あくまでも想像ですが、合わせて100万円程度はあるだろうと思います。

PHEVは、ブレーキには20インチ6ポット・カラードキャリパーが使われ、またNAVI・AI-AVS(電子制御サスペンション)が搭載されて、ナビと連動して走行状態を先読み自動制御します。また、ステアリングにバトルシフトが装備され、マニュアルでシフト操作を行うことが可能です。充電ポートやケーブルなどの装備もPHEVだけのもの。これらの価格差は数十万円程度でしょうか。

運転席と助手席はHEVはバケットタイプの「スポーティ・シート」で、助手席には運転席や後部座席からも前後や角度を調節できるスイッチが付属しています。一方、PHEVはまさにスポーツカーのような「スポーツ・シート」になりますが、助手席スイッチは省略です。前席はシートヒーター、シートベンチレーションがどちらにも装備されますが、PHEVには後席のシートヒーターも追加されています。エアコンではPHEVにはヒートポンプとPTCヒーターがつくので、すぐに温風が吹き出ます。これらの価格差も数十万円程度はありそうです。

HEVとPHEVの価格差は、RAV4のE-Fourだと160万円、ハリアーのE-Fourだと105万円、レクサスNX version Lだと112万円、レクサスRX version Lだと114万円です。RAV4以外は、エクステリアやインテリアの差はほとんどありません。これらの車種は、走行に直接かかわるエンジン・モーターなどについては、クラウンスポーツと大きな違いはありませんので、つまりその部分ではやはり100万円ちょっとくらいの差が出るということ。

RAV4は、エクステリアのPHEV専用の変更などもあり、他より高くなってしまうのだと思います。クラウンスポーツについても、いくつかの専用装備が追加されているので、175万円という価格差はある程度妥当な範囲なのかもしれません。ただ、普通はオプションで選ぶものがほとんど標準装備とはいえ、乗り出し価格が800万円くらいになってしまうが痛いところですね。