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2024年2月19日月曜日

PHEVへの道 38 レクサス NX & RXの通信簿


今更言うまでもなく、レクサスはトヨタ自動車の一部門で、高級車を扱うブランドとして立ち上がりました。トヨタ車の中で人気の車種・グレードを、レクサス・ブランドに吸収し、より内外の質感を高め、顧客のより高い満足感を与えるプレミアム・カーと呼べるものに仕立てて成功しています。

しかし、レクサスに乗りたいけど価格が高すぎるとか、2台目が欲しいけどもっと安いのでいいというような意見が出るようになり、最初に中身は3代目プリウスであるCT、最近は中身がヤリスクロスのLBXが登場し、はっきり言えばトヨタ・ブランドとのラインアップの差別化が崩れている印象です。いくら質感が良いとはいえ、300万円で乗れるヤリスクロスに600万円近く出すのかという疑問が湧いてきます。

当然、そこにはレクサスならではの付加価値がたくさんあり、特にレクサス・ディーラー側の様々なサービスが追加されるのですが、車としての本質とは別の部分。人気だったハリアーをレクサスに吸収したのがRXでしたが、当時専売していたトヨペット系ディーラーから猛反対を受け、トヨタ版ハリアーは残ってしまいました。

その後RXはさらに高級化しましたが、従来のハリアーに近いものとしてNXが登場し、今では現行ハリアーが「劣化版NX」と言われてしまうこともあります。総じて、レクサス・ブランドは当初の志より間口を広げ過ぎた感は否めませんが、ここにきて再編の動きが出てきました。

それは2023年に発表されたトピックで、「レクサスは2030年までにBEVでフルラインアップ、2035年にはグローバルでBEV100%を目指す」というもの。その動きは始まっていて、レクサス版CH-Rとして登場してUXは、当初のガソリン・モデルが廃止され、BEV版が新登場しました。またレクサス版bZ4XであるRZも発売されています。

現状で、レクサス・ブランドからPHEVを探すとRX450h+とNX450h+の2車種があります。基本的なパワートレインは、クラウンスポーツRS(PHEV)、ハリアーPHEV、RAV4PHEVとまったく同じ2.5L直列4気筒エンジンを搭載しています。モーター型式は、フロント5NM(出力134kW、トルク270Nm)、リア4NM(出力40kW、トルク121Nm)、電池容量も18.1kWhで、これもまったく同じです。

システムのトータル出力はRXとNXが309馬力、クラウンスポーツ・ハリアー・RAV4が306馬力となっていて微妙な違いはエンジンのチューニングによるもので、レクサスは最高出力136kW・最大トルク228Nmで、トヨタは最高出力130kW・最大トルク219Nmとほぼ同じと言ってよそさう。ところが価格は、RAV4が563.3万円、ハリアーが620万円、クラウンスポーツが765万円、NXはversion Lが729.5万円でF SPORTが753.5万円、RXが872万円となっていて、最大300万円程差が開いてしまいます。

WLTCモード性能は、燃費・電費・充電電力使用時走行距離は、RXは18.8km/L・178Wh/km・86km、NXは19.6km/L・172Wh/km・87kmですので、トヨタ車の方が全体的には成績が良好です。レクサスの方が、全体的に大柄で重量がある関係と想像します。最小回転半径はRX5.9m、NX5.8mで取り回しが良いとは言いにくい。ただし、ハリアーとRAV4も5.7mで、クラウンスポーツだけが5.4mと小回りが利くというところは面白い。

結局のところ、トヨタおよびレクサスのPHEVを考えた時、基本性能はどれでもほぼ一緒。車の乗り心地はパワートレインだけで決まるわけではなく、当然価格が高くなるほど先進技術がてんこ盛りになって、より質感の高い上質な走りを得られるようにはなっています。また、インテリアも明らかな差があり、乗り込んだ時の満足感にも格段の違いがあることは間違いない。

経済的な事情と車の価値をどこに求めるかによって、選択は変わってくるのは当然です。特にレクサス店の「おもてなし」感に価値を見出すなら、車体の大きさを考慮してRXかNXを選ぶと良さそう。価格帯が接近するNXとクラウンスポーツは悩みどころになりますが、外観・内装が大きく違い好みが二分するところでしょうし、また車を走らせる楽しさや「クラウン」というネーム・バリューはクラウンスポーツに有利なところです。