2024年2月23日金曜日

PHEVへの道 41 ステアリング


自動車を走らせるために大事な仕組みの一つがハンドルで、これを回すことで右に曲がったり左に曲がったりできます。ハンドルという呼び名は古典的で、本来はバイクや自転車のような棒状になって左右に振ることで進行方向を決める装置の事です。

自動車に一般的な備わっているのはリング状で、時計回りで右、反時計回りで左に向くわけで、このような円形の装置はステアリング(ステアリング・ホイール)と呼ぶのが正しい。また、どんな乗り物でも操舵装置のことはステアリングと呼ぶことができます。

ドライバーがステアリング・ホイールを回転させると、中心にあるシャフトの先端にあるギアが回転します。回転する歯車の動きを左右の移動という直線的な動きに変換する仕組みが「ラック・アンド・ピニオン」と呼ばれるもので、自動車の諸元を見ていると必ず目にする用語です。

ラック・アンド・ピニオンは回転する歯車(ピニオン)のギザギザと同じ間隔のギザギザがついた棒(ラック)が嚙み合って棒を左右に動かすもの。パワー・ステアリングの普及により操作性が安定しかつ安価なので、現在の自動車はほぼすべてこの仕組みになっています。以前は「ボールナット方式」と呼ばれるボールベアリング機構が主流でしたが、現在ではスズキのジムニーやシエラなどに採用されています。

左右に動くラックの力はナックル・アームを介して駆動輪に伝わりタイヤが向きを変えます。この時用いられている理論が「アッカーマン・ジャントー機構」と呼ばれるもので、タイヤの回転軸の延長戦が曲がる方向の回転中心を通るというもの。回転中心から見ると、タイヤの位置が左右で異なるので、タイヤが同じ角度で動くと回転中心がずれてしまいスムースに曲がれません。曲がりたい側のタイヤの方が、より大きい角度がつくことが求められます。

ステアリングを切ったとき、速度が速いほど遠心力により後輪が外側に振られて曲がる角度が強くなることをオーバーステアと言います。当然スリップしてスピンしやすくなるため、より高度な運転技術が必要となります。逆に曲がりが足りない場合をアンダーステアと呼び、車体がコーナーに対して「膨らむ」ため、より前輪の角度をつけるためにスピードを落とす必要があります。

よく自動車評論家の方々が運転して「ステアリングフィールがどうたらこうたら」と言っていますが、これはステアリングを回した時の操作感全般を含んだ言葉であって、ステアリングの重さや切った時の効き具合などを含めた主観的な評価です。

ステアリング操作も、燃費と無関係ではありません。無駄なステアリング操作や曲がっている途中でのブレーキ操作は、タイヤに負荷をかけることになります。一般に曲がる時「アウト・イン・アウト」と言われるのは、カーブに対して外側から入り中心では内側、そしてカーブを抜けるときは外側に車体を持っていく操作のことで、ステアリングの切れ角が少なく、遠心力も減らせて、タイヤへの負担も軽減でき燃費向上にも寄与します。

また、2000年以降は標準化されたパワーステアリングも、当初は油圧式でポンプを回し続けていましたが、現在は電動式となり燃費向上に役立っています。そうそう、昔のパワステが無かった車では「よいしょっ! よいしょっ!」といってハンドルを回していましたね。