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2024年2月13日火曜日
PHEVへの道 34 BYD F3DMの通信簿
世界初の量産型PHEVはBYD社のF2DMです。初登場は官公庁向けに2008年に登場し、2010年から一般向けの販売が開始されました。次に発売されたのはアメリカのシボレー社のボルトで、2010年12月のこと。トヨタのプリウスPHVが場初めて登場したのが2012年1月、続いて三菱アウトランダーPHEVが2013年1月に発売されています。
トヨタに先駆けて発売されたF2DMはどのような車なのでしょうか。ベースとなったガソリン車が100万円程度だったのに比べて、PHEVはほぼ2倍の価格でした。当初官公庁向けとして100台程度が販売されましたが、中国政府の補助金がついたことで一般にも発売したものの2013年には販売終了し短命に終わっています。
今となっては情報が少ないので、詳細はよくわからないのですが、可能な限りどういう車だったのか探ってみます。
当時は、まだまだ中国の知的財産権に関する意識が低く、外見はトヨタ、ホンダなどの他社のコピーという批判的な意見が多かったようです。全長・全幅・全高は4533mm・1705mm・1520mmのミッドサイズ4ドアセダンで、車体重量は1560kgです。
排気量1.0Lのガソリン・エンジンに加えて、25kWと50kWの出力性能を持つ2個のモーターを搭載する独自の方式を採用しています。発進時、低速走行では1個のモーターで走行し、スピードが出るとエンジンともう一つのモーターがパワーを追加し最大168馬力を発揮するというもの。
搭載した電池は16kWで、モーター走行だけで60km、ハイブリッド走行を加えると480kmの航続距離があります。
ロサンゼルスで2010年に市中走行を中心としたテスト・プログラムが組まれ、平均燃費37km/Lを達成し、全走行の72.3%で電気走行であったと報告されています。しかし、充電インフラ不足が主要原因となってアメリカでの販売は見送られたようです。
2012年初頭にトヨタが初めて発売したPHEVである3代目プリウスは、ハイブリッド燃費は61km/Lとされていますが、実際の走行では、25~35km/L。満充電の電気走行可能距離は26.4kmですので、F3DMはエンジンこそ非力ですが、見劣りする性能とは言えなさそうです。
ただし、期待感はあるものの、やはり時代のニーズとしては早すぎたといえそうです。当時は、まだまだBYDに体力がついていなかったということ。充電インフラがほとんど無い状況で、家庭充電というのもゼロという時代背景を考えると、ただただ価格が高いだけのHEVという位置づけに終わったというところでしょうか。