2025年2月12日水曜日
尾道
もう、何年か前に中国地方に旅行に出かけました。一番の目的は、島根県の出雲大社と広島県の厳島神社だったのですが、レンタカーでの移動だったので途中であえて尾道に寄り道をしました。
何で尾道? ・・・これは、まさに大林宜彦監督の映画の影響か圧倒的に大きかった。「尾道三部作」と呼ばれた最初の「転校生」はテレビで視聴し、2作目「時をかける少女」は先にあったNHKのテレビドラマの影響もあってビデオテープを購入しました。3作目の「さびしんぼう」は、当時から知っていましたが視聴したのはだいぶ後の事です。
登場人物が細い道を走りまわって、当時からしてレトロな風情のある街並みに、故郷でもないのに妙に興味が湧いたものです。まるで川のような静かな瀬戸内海に面する漁師町と、山側の横濱のような雰囲気のアンバランスも興味深い。
市としては映画が観光スポットに注目してくれることを願っていたようですが、映画ではむしろ普通に人々が暮らす街並みしか映し出されなかったことが不満だったようです。しかし、この街の情景こそが貴重な観光資源であることは、実際に行ってみるとよくわかります。
今どきの「聖地巡礼」というようなことはしませんでしたが、坂の多い細い路地を歩いてみると、そこはまさに大林映画の世界のようで、前から知っていた所に来たような懐かしさみたいなものも感じることができました。
ふいに目の前に登場する古い家は、映画の中に出てきそうな佇まいだったりします。立派に飾り立てられた観光名所よりも、「あー、何か来てよかった」と思えて気持ちが落ち着いたことを覚えています。
とは言っても、「尾道三部作」からもう40年ほど時が過ぎ、あらためてこれらの映画を見て尾道に行ってみたいと思う人は多くはないと思います。大林監督が、2020年に亡くなったのでなおさらのこと。時代が変われば、人によって尾道に代わる新たな場所はいくらでも出てきているはずです。
それでも、尾道の魅力はずっと続いてもらいたいものですし、新しい世代の人によって今の尾道が紹介され続けられるといいなと思います。