2026年2月27日金曜日
SEKAI NO OWARI / BLUE PLANET ORCHESTRA (2021)
SEKAI NO OWARIが、久しぶりのオリジナル・アルバム「Eye」と「Lip」を引っさげて、2019年に行ったライブツアーが「The Colors」です。しだいにファンタジー色を強め、テーマ・パークのようなライブを行ってきた彼らのライブとしては、かなり異色。というか、かなり「正統派」のステージとなりました。
サポート・メンバーはお馴染みのベースとドラムが加わっていますが、驚いたことに、いつもDJブースに鎮座しているDJ LOVEが全編に渡ってドラム・セットに囲まれていること。しかも、たぶんちゃんとドラムを叩いているじゃないですか。Fukaseは、もともと時々ギターを演奏していますが、ここでは数曲でベースを弾いています。
そして最も驚くのはセット・リスト。アンコールまでの全20曲の中で数曲を除いて当時はまだあまり知られていない曲ばかりで、観客の方々はもしかしたら途方に暮れたかもしれません。監視社会というのがテーマで、檻の中からという雰囲気の演奏でスタート。ステージの後ろは、お馴染みの巨大ファンタジー・セットではなく、13×16のマス目にモニターが並び誰もが誰かに監視されているという状況を明示しています。
そして、翌年は・・・彼らもコロナ禍の影響を受けないわけがなく、デヴュー10周年を記念する2020年は沈黙するしかありませんでした。すでに発表されていた「Du Gara Di Du」ツアーの中止、初のベスト・アルバムの発売延期、アルバムの海外発売中止・アメリカでのライブの中止などなど・・・
一方、コロナ禍でもSEKAI NO OWARIの特徴が強みになる部分もありました。つまり、打ち込み・プログラミングという技法を駆使する彼らは、リモートでの作業でも楽曲制作が比較的容易にできるのです。彼らはすでに着手していた「香 (scent)」をテーマにしたアルバムを、皆が集合するスタジオ・ワーク無しでも完成にこぎつけ、2021年4月にリリースしました。
ニュー・アルバム「scent of memory」では、彼らの特徴の一つになっているボーカル・エフェクトはほとんど使用されませんでした。しっかりと歌唱することを目標としていて、(リモート作業があったとしても)今まで以上に一つ一つの楽曲の完成度が高いように思います。
コロナ禍でライブが可能になった秋から冬にかけて行われたツアーが「BLUE PLANET ORCHESTRA」でした。今までも、ストリングス、ホーンが加わった形のライブは行われていますが、今回はタイトルが示すように本格的にオーケストラ規模の編曲がなされた形になっており、音楽的な奥行きが大変深くなっている。Saoriはこれまで、主としてRolandの電子ピアノ使用してきましたが、今回はフル・コンサートのグランドピアノが使われました。
観客は声出し不可・マスク着用という制約がありますが、その分音楽をしっかり聴く場になっています。メンバーも究極のパーティションで仕切られている・・・というのは、そのまま月に飛び出せそうな宇宙服を着用しました。ピアノやギターは演奏しにくそうで気の毒な感じですが、この時期の演出としてはなかなか秀逸なプロダクションです。
セットリストは遅れてきた10周年企画として、彼らのこれまでの歴史をたどる選曲となっており、ずっと彼らのファンだった人には嬉しい内容。そして、初めて彼らの音楽に接する人にも、ベスト的な内容でわかりやすいものになっていると思います。
セカオワの大々的なファンタジックなステージが大好きという人には、普通過ぎると思われるかもしれませんが、SEKAI NO OWARIの10年分の音楽をしっかり聴くステージとしては、オーケストレーションのダイナミックさも加わってベスト・ライブとして選出できるものになっています。
2022年には新たなアイデアを加えて再構成されたツアー「Du Gara Di Du」で、再びファンタジックなセットを組んだステージを行いました。声出し解禁となった2023年は、ライブハウスである全国のZeppを巡るツアーを行いました。ほとんど装飾のないステージは、彼らの原点であり、観客との距離が近い分、ライブ感はすごい。翌2024年3月に発売されたニューアルバム「Nautilus」の初回限定盤にフルコンサートのDVD・Blurayが付属しました。
ニューアルバムリリースに合わせて2024年はツアー「深海」が行われ、2025年はアジア各地を回るツアー「Phoenix」、そして今年2026年は夏にドーム・ツアー「THE CINEMA」が行われることが発表されていて、これからも活躍が楽しみです。
