2007年10月8日月曜日

整形内科医、参上。

自分は、医者になってからというもの、ずーっと整形外科医なのですが、整形外科というのは基本的には手術してなんぼの医者であるわけです。あすなろ棒屋先生は泌尿器科医と呼ばれますが、あまり泌尿器外科医とはいいません。

体の特定の部分に特化して、内科的な治療も外科的な治療もするのですから、整形外科も骨・関節・筋肉科とか運動器科とかいう名前だったら、もう少し通りがよかったかもしれません。もともと骨折を「矯正する」というところから整形という名前が出てきて外科から独立したので、しょうがないのですが、いまでも形成外科や美容整形と勘違いしている人が大変多く、説明するのに苦労する場合があります。

しかし、開業して基本的には手術をしないようになってみると、ある瞬間自分は整形内科医であると思わざる得ません。もちろん、今でも腱鞘炎などの小手術はクリニックでやっていますし、ちょっとしたものは近くの病院で手術を組んでいます。大学でも、いろいろな手の変形などの手術もしているわけですが、ふだんクリニックでやっている診療の大部分は手術の前までの段階の治療になります。

特に関節リウマチを扱っていると、まずは副作用の多い薬の治療が中心になりますので、内科的なケアがたいへん重要になってきます。また、他の薬との兼ね合いもあるので、高血圧・高脂血症・糖尿病などの頻度の高い病気については、初期治療をあわせて行ったり、胸のレントゲン写真も見る機会が多くなります。自然と、一般的な病気の記事などに目が行くようになり、ますます「内科医」的な状況になっていくのです。

また、当直のバイトをしていると整形外科的な問題で診察をすることは、外来でも入院でもほとんどありません。熱が出た、かぜをひいた、お腹が痛い、下痢・嘔吐、めまいがするといった症状がほとんど。中には喘息の発作、不整脈、異物誤嚥、精神疾患、吐血などなど、かなり大変なものもあります。事前の情報で、さすがに専門のところに行った方がいいと思う場合はお断りしますが、時に突然外来にくることもしばしば。

まあ、これも自分の勉強、簡単なことならなんでもコンビニエンスな医者というのも、厚生労働省がひそかに画策しているらしい「総合診療科」創設の動き(病院は専門、開業医はなんでも)を考えると必要なことでしょうか。