2008年4月23日水曜日

リウマチ気質

関節リウマチの患者さんは、「リウマチ気質」という特殊な性格を持っているというようなことがよく言われます。いわゆる粘着気質のパワーアップ版みたいなもので、細かいことにうるさくて、次から次へと質問をしてきてやっかいというような意味が込められているように思います。

自分も以前は、そういうイメージをもっていたことは否定しません。しかし、リウマチセンターというところで勉強してみて、こういう考え方が大きな過ちであることに気がつきました。

つまり、患者さんが「リウマチ気質」になるのは医者の知識と経験の不足が原因なのだとわかったのです。しかも、関節リウマチという病気に特別なものではなく、どんな病気でも共通の話なのです。どんな病気でも、患者さんは自分はどうなるのか不安になります。治るのか? 治らないのか? 誰だって知りたいことです。

医者の仕事は病気の治療ですが、その前にそういう患者さんの不安を取り除くことが大きな仕事であるはずです。ところが、知識がなければ、患者さんに十分な説明をすることはできません。かりに知識があっても経験がないと、それを自信をもって伝えることが出来ません。

患者さんの不安を解消できなければ、患者さんはよりたくさんの不安を抱えて医者に多くの質問をしてくるのです。特に関節リウマチでは、場合によっては副作用で死ぬかもしれないような薬を飲むように言われるわけですから、なおさらです。薬を飲むことによって得られる利益と、失うかもしれない不利益を十分に理解していることが必要なのです。

実際に、その結果を勉強することは通常の外来では数も足りなければ、時間も足りません。リウマチセンターで、ほとんどすべての患者さんがリウマチであるという環境は、それらを勉強する環境としてはこれ以上の物はありません。

ですから、「リウマチ気質」というものはないと断言します。患者さんにしっかりと説明し理解してもらえれば、みんな「普通」の患者さんであることに変わりありません。いろいろな報道があってもぶれることなく、これからも信念を持って患者さんとの関係を作っていきたいと思うのでした。