小さい頃にちょっとだけピアノをやったことがありますが、ほとんど自分で弾けるわけではなく、純粋に音楽ファンとして聴いて楽しむためのピアノ。さらに、クリニックのBGMに使えれば一石二鳥。
もともとは開業して間もなくGlenn Gouldの演奏するGoldberg Variation (J.S.Bach)との出会いから始まったわけです。おや、クラシックはやはりしっかり聴いてみたいと思わせてくれました。それまでも、まったく聴かないわけではなかったのですが、クラシックのCDを買うなんて言うのは年に1回か2回くらいでした。
もともと交響曲は好きではなく、オーケストラ作品よりも室内楽や器楽曲が好みでしたので、Gouldのピアノから始まったクラシック漁りもそのあたりが中心。たまたま手に入れた、アシュケナージとアラウのピアノ・ソナタで、ベートーヴェンが交響曲だけの人ではないとあらためて知らされたわけです(遅すぎ)。そうなると、ソナタ全集をいつかは手に入れたいと思うのは誰もが通る道のようで、いつものHMVでもしばしば検索して検討に検討を重ねるようになりました。
でも、ベートーヴェンのピアノ・ソナタは高いんですよね。できるだけ値段が安くて枚数の多いセット物を中心に、いろいろ買っていたのですが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタとなると5000円以下はちょっと無い。もちろん、レコードの時代に比べれば、ずいぶんと安くはなったわけですが、何となく躊躇していたわけです。
他のピアノ曲をいろいろ購入しているうちに、こんなピアニストがいるんだ、こんな演奏もあるのか、などといろいろわかったつもりになってくると、とにかくこれだけは名もない安い全集だけは避けたいと思うようになってきました。でもって、いろいろ検討した結果、ついに購入決定したのがこれ。Wilhelm Kempff の全集です。
理由? 戦前のシュナーベルさんや、バックハウスさんとか、いろいろ定番はあるようですが、ケンプさんもだいたいネットのどこで見ても褒めてあります。それとHMVのuser reviewというのが、けっこう参考になるんですよね。個人個人で好き嫌いがありますので、賛否はあまり気にせず多くのreviewがついていることがポイントです。 ギレリスとどっちにするかかなり迷いましたが、ギレリスは残念ながら全集が完成していないんですね。
他に北欧の女流ピアニストのものが1700円くらいと超格安で出ていますが、やはりちょっと無名過ぎ。バックハウスは2回全集を作っていて、古い方が評判がいいようですが、モノラルなんです。昔から聞いていて買い直すわけではないので、やはり音のいいもの。できれば70年代以降のステレオ録音というのも大事な条件なんです。ケンプは古い全集はHMVでは入手不能。この新しい方の録音は60年代ですがステレオ。
大好きなグールドもかなりの録音を残しているのですが、やはりベートーヴェンとなると演奏は異端の部類に入ってしまうんですよね。さすがに、いろいろ何セットも購入して聞き比べるというところまではいかないので、どれか一つということでこれに決めました。
値段は国内版だと9枚組で16,514円ですが、輸入物ならなんと6,923円という半額以下で購入できました。というわけで、まだ手元には届いていないのですが、ついに買っちゃったという勢いで、文を書いてしまいました。在庫ありなんで数日中に届くはず、連休中は「当直しながら」ベートーヴェンのピアノ・ソナタをじっくり聴くことにします。